この20年で倍増した理由とは？ ターゲットは女性！ コインランドリー新時代に（データで見るコインランドリー）
スーツやワイシャツ等を洗う一般クリーニングは需要の減少に伴って施設数の減少が続いているが、右肩上がりとなっているのがコインランドリー。近年では機械を購入しようとしても、「数か月待ち」というケースも珍しくなく、昨今のコインランドリーは業界内で“バブル”と表現されるほどだ。
厚生労働省では、1995（平成７）年度から各自治体の協力のもと「コインオペレーションクリーニング営業施設の衛生状態に関する調査」を行っており、1995～98年度までは毎年、99年度からは隔年での調査に変更となるも、2013年度までは施設数等が発表されていた。それをまとめたのが、下のグラフ。
2015年度の調査結果は今年（2016年）発表されることになっていたのだが、厚労省に問い合わせてみると、「2015年度は調査を行っていないので、発表はない」とのことであった。未調査の理由を尋ねると「記入者の負担が大きいと、協力してくれない自治体があり、以前から調査を続けるかとの議論があった。その結果、2015年度は調査が行われなかった」とのこと。もともと、1994年に施設の衛生実態の不備が発覚したことを契機に始まった調査であり、コイン施設を開設するにあたっては、地元の保健所に開設届けが必要となっているのだが…。なお、厚労省では「今後も未定」としている。
（写真）近年は女性をターゲットにしたコインランドリーが増えており、洗濯機を持たない独身男性を狙った「銭湯併設型」は減少傾向に（画像の一部を加工しています）
残念ながら、公的な発表はなくなってしまったが、業界内では「近年はこれまで以上に伸びており、18,000施設を突破しているのでは」と言われている。
2015年度に18,000施設あるとすると、厚労省の調査で1995年度が9,206施設であるから、この20年でコインランドリーは倍増したことになる。
また、これまでのコインランドリーは「銭湯とセット」というスタイルが多かったが、その理由は風呂なしアパートに住み、洗濯機を持たない独身男性を主なターゲットとしていたからに他ならない。しかし、ここ数年増えているのは主婦を始めとする女性も狙った店舗なので、外観もキレイで店内の様子もよく見える。毛布やふとんなどの大物も洗いたいという清潔志向、洗濯物を干すことができない高層マンション、花粉に黄砂、ＰＭ2.5といった問題に加えて、使用する前にドラム洗浄が行える機械が登場するなど、コインランドリーを取り巻く環境は、この20年で大きく変わっているのだ。
実際に厚労省のデータからも、「銭湯併設」タイプが減っているのは明らか。別表の通り、コインの施設数は増え続けているにもかかわらず2009年度以降、公衆浴場営業者による施設数は減少しているのだ（全体に占める割合も2009年度：10.3％→2011年度：9.0％→2013年度：8.3％）。
コインランドリーは、「自宅に洗濯機のない独身男性が利用するサービス」から、ふとん等の大物洗いや大型機によるまとめ洗いで家事時間の短縮も図れるメリットが浸透し、「女性も気軽に利用できるサービス」へと大きく変貌を遂げている――このことが、近年の施設数の増加につながっている。まさしくコインランドリー新時代の到来と言えるだろう。
（写真）最近はコインランドリーでもＩＴ化が進み、利用するとポイントが貯められたり、登録したメールアドレスに領収書を送ったりすることも可能
（ランドリービジネスマガジン編集部）
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