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アレルゲンフリーの店舗を目指して 業界初、スーパーアルカリイオン水をコインランドリーへ導入(洗剤を使わないコインランドリー)

 ㈱Wash‐plus(ウォッシュプラス、千葉県浦安市)は千葉県浦安市と東京都江戸川区で計4店舗を展開。同社はアレルゲンフリーを目指し、化学物質を含まない「スーパーアルカリイオン水(以下、SAW)」を使用した「洗剤を使わないコインランドリー」として、アレルギーの子供を持つ主婦を中心に、地域で話題となっている。今回は同社の高梨健太郎社長に、SAWのお話を中心とした様々な取り組みについて伺った。

 

起業のきっかけは東日本大震災

 高梨氏は元々、㈱協同住宅という不動産を経営している。32年前に父が創業した会社で、2004年に後を継いだ。

 

 コインランドリーを始めようと考えたのは今から5年前。きっかけは東日本大震災だった。地元の浦安市では液状化現象が発生し、その影響で震災前と比べて人口が3000人減少、空き物件が一気に増えた。高梨氏は不動産業を営む者として、今後も起こりうる自然災害のリスクを考えたとき、他の業種を手掛ける必要性を感じたという。そして、知人から「最近コインランドリーのビジネスで成功している人が多い」というアドバイスを受け、コインの研究を開始。㈱山本製作所(広島県尾道市)のサポートを受けて、2013年に浦安市内に1号店をオープンした。

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(写真)高梨健太郎社長

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(写真)Pepper(左)とモニター(右)。店舗の利用方法から、SAWの解説、子供が楽しめるゲームまで様々な機能が搭載されている

 
自らの信念を貫いた独自の店舗作り

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(写真)江戸川区内の4号店(上)と店内の様子(左)。外観から内装まで全て高梨氏がデザイン。自動販売機も塗り替えている

 

 取材で訪れた江戸川区の4号店は、水色と白が基調の外観に、店内は乾燥機と洗濯乾燥機が6台ずつあるほか、保管用ロッカー、コーヒーの自動販売機、子供用の遊び場、そしてソフトバンク㈱が販売している人型ロボット「Pepper(ペッパー)」も設置。カフェのような透明感に溢れた空間に、お客様に楽しんでいただけるような様々な試みが具現化されている。


 高梨氏は店舗作りに関して「オープン前、数社のメーカーと話をしたが、皆、丁寧にアドバイスしてくれる。とてもありがたいことだが、同時に『考えなくてもやってくれる』という甘えが出てしまうと感じた。これでは、他店との差別化ができず、個人的には『隣にコインランドリーができても負けない店を作る』という覚悟で始めようと思ったし、かつて商工会議所で経営指導を行っていた身として、店舗作りには自信があった」と述べ、店内のPOPや機械の説明なども全て自ら用意。競争を勝ち抜くため、信念を貫いた。


地域で話題、社会的にも認められたSAW

 そんな独自の店舗作りの中で、高梨氏が「他店にない最大の強み」と自信をもって紹介したのが、SAW。独自の電解技術によって水道水から純水を生成し、水素イオン濃度と還元電位を極限まで高めた強アルカリ電解水で、一般的な洗剤に含まれる界面活性剤や有害な化学物質を含まないことから、「安心・安全な洗剤」として知られており、主に飲食店などで使われているものだ。


 このSAWをコインランドリーに取り入れようと思ったきっかけについては「オープン前に知り合いのお子さんがアトピーで、衣類に残った洗剤の残渣に含まれる化学物質が症状を悪化させるという話を聞いた。これからコインランドリーを始める人間として、そして子供を持つ親として、この問題を解決しなくてはならないと思った」と高梨氏。このようにSAWをコインランドリーに取り入れる構想はオープン以前からあり、山本製作所はSAWの洗浄実験をする場所を提供。実験にも協力してくれたという。

 

 力を入れた甲斐もあり、SAWは瞬く間にその評判が口コミで広がった。お客様の声を聴くためのアンケート用紙にも、SAWに対する満足の声が多く書かれており、特に2号店・3号店はすっかりその評判が地域に根付き、SAWのために同店を利用するお客様が多いという。店内で販売も行っており、持ち帰って家庭で使うことも可能だ。

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(写真)SAWの販売機とボトル。「家庭では食器洗いに使う人が多い」と高梨氏

 

 また、高梨氏は千葉県が行った県内の企業を対象に新規性・創造性のあるビジネスプランやアイデアを表彰する「第2回ちば起業家ビジネスプランコンペティション」にSAWによるコインランドリー事業でエントリー。118社の中から最終選考の5社に残り、見事、ちば起業家大賞を受賞。地域住民のみならず、社会的にも評価が高まっている。

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(写真)保管ロッカーは壁一面びっしり

 

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(写真)ロッカー/洗濯乾燥機コイン投入口の左側にQRの読み取り機

 

5年以内に20店舗まで拡大へ

 店内の保管ロッカーもまた、高梨氏曰く「他の店ではやってないのではないか」というサービス。乾燥機・洗濯乾燥機を設置し、残ったスペースをどう活用するかを考えたとき、費用収益面の関係から機械を増やすよりも機械以外のものを導入した方が良いと考え、ロッカーを試験的に取り入れた。「冬物などの幅を取る衣類や季節によって着ない衣類の保管用」で、現在は月額3500円(税別)だが、料金設定も試験的なため、今後利用者が増えた場合には下げる方向だという。

 

 また、洗濯乾燥機にはIoTを導入。セールなど、その都度店舗を訪れて機械の設定を変える必要がないほか、消費者の行動データ等も分析が可能。現在、コインランドリーにおけるIoTの導入は業界でも進んでいるが、同社は他店に先駆けて取り入れた。このことも、ちば起業家大賞受賞の際に評価された点だ。

 

 そして店内にはSAWの説明を掲載しているほか、洗浄力の試験を店舗ごとに外部の専門機関に委託しており、その結果を掲載している。高梨氏は「消費者が知らないことがない店舗にしたい。SAWとは何なのか、汚れはちゃんと落ちるのか、といったことを説明することで、安心・安全に利用できる店舗になると思う」。今後については「今は4店舗だが、5年以内に20店舗まで拡大させたい」と熱く語った。

 

(ランドリービジネスマガジン編集部)

 
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