コインランドリー情報誌 ランドリービジネスマガジン LBM

国内唯一無二のコインランドリービジネス情報誌




コインランドリーデカが見たコインランドリーの裏側〜流行っているコインランドリー店には共通項があった〜

 

 関東圏を中心に15年間でコインランドリー約3000軒以上を訪問し、独自にリサーチを続けるコインランドリー刑事(デカ)こと藤原健一氏が2018年9月12〜14日に東京ビッグサイトで開催された第3回 国際コインランドリーEXPO2018にて「コインランドリーデカが見たコインランドリーの裏側〜流行っているコインランドリー店には共通項があった〜」をテーマに講演を行った。以下で司会進行役を務めた㈱ジェイシーレゾナンス・松永博司社長とのやり取りをお届けする(以下、藤原氏=デカと記載)。

f:id:murakamihjm:20181228110525p:plain

f:id:murakamihjm:20181228110537p:plain写真:3日間の日程で開催された展示会のトリを飾り、「お店の選定に1か月、取材に1か月かけました。損はさせないつもりです」と述べたデカの講演に多くの来場者が集まった

f:id:murakamihjm:20181228110626p:plain
写真:︎㈱ジェイシーレゾナンス・松永博司社長

f:id:murakamihjm:20181228112251p:plain
写真:コインランドリーデカ・藤原健一

*************************

松永 今回はデカに「流行っているコインランドリー」を全部で6店舗、〝捜査〟して頂きました。そのレポートの報告から、「どんな共通項があるのか」を炙り出していこうと思います。

デカ まず1店舗目ですが、「BALUKO LAUNDRY PLACE(バルコランドリープレイス)三鷹」。こちら2018年1月19日にオープンしたばかりのお店です。東京都三鷹市下連雀というところにありまして、カフェ併設で洗濯代行もやっています。バックヤードに洗濯代行用の洗濯機と乾燥機があります。売上は非公開で運営は㈱OKULABさんです。

f:id:murakamihjm:20181228110704p:plain写真:BALUKO LAUNDRY PLACE 三鷹

 こちらのお店ではまず、朝9時のカフェオープン前に床の拭き掃除と掃き掃除、機械のリントフィルターの掃除を行います。リントフィルターの掃除は夕方もう一回行います。

 カフェにスタッフがいるのですが、私が行ったときは二人いまして、頻繁にコインランドリーとカフェを行き来し、ゴミが目についたらすぐ拾い、カートの整理整頓をするなど気付いたら掃除をしていました。21時までの有人の間はいつもこんな感じだそうで、畳み台も常にアルコール除菌スプレーで拭いていました。私が知る有人店の中でも掃除の頻度は最高レベルでした。

f:id:murakamihjm:20181228110809p:plain

f:id:murakamihjm:20181228110819p:plain

写真:清潔な店内はスタッフの努力の賜物。除菌シートと除菌スプレーはおしゃれな容器に入っている

 アルコール除菌スプレーのほか除菌シートなどは店内に置いてあり、全てお客様が自由に使えるそうです。店員さんに「持って帰られてしまうのではないですか?」と聞くと「たまに持って帰られます。でもそしたらまたあきらめずに置きます」と話していました。コストが気になるところですが、一度補充しておけば1か月くらいはもつそうです。なので、多分皆さんが使うのではなく、ある程度決まった方がお使いになるのかなと思っています。

松永 ありがとうございます。では、2店舗目の捜査結果の報告をお願いします。

デカ 「大型コインランドリー 晴れのち晴れ 吉祥寺店」。2016年6月12日にオープン。東京の吉祥寺にあります。営業時間は6時から23時まで。月間売り上げは非公開。運営は㈱アスピースコーポレーションという会社で、本社は調布市にあります。ご夫婦でやられている会社で、奥様である社長は元ハウスメーカーの社員さん。ご主人は不動産会社の社員さんということで、不動産繋がりでご結婚されたということでした。奥様はクリーニング師の資格をお取りになられています。

f:id:murakamihjm:20181228110901p:plain写真:大型コインランドリー 晴れのち晴れ 吉祥寺店

 掃除の頻度ですが、信頼できる方を厳選して、掃き掃除とフィルター掃除を毎日やってもらっているそうです。心掛けていることは「明るく清潔」と「お洗濯の品質追求」です。例えば機械であるとか洗剤、ソフター、助剤、こういったものに非常に細かく目を向けています。乾燥の温度の設定を的確にする、ガス代をケチらないなどですね。

 こちらにもお客様が自由に使えるサービスがありまして、また出てきましたが「アルコール除菌シート」、「洗濯用のソフターシート」。それから、靴洗い機があるのですが、この靴洗い機を使う方向けに靴のクリーナーがあり、汚れの酷いところに染み込ませて使うそうです。それからシミ抜き剤もあります。クリーニング店で使う業務用のもので製品名は「アクティベートV200」です。なぜお客様が自由に使えるサービスを置くことになったのかと言いますと、忙しい女性がせめてお洗濯の時間だけでもラクしてほしかったからだそうです。

f:id:murakamihjm:20181228111116p:plain

f:id:murakamihjm:20181228111128p:plain
写真:虎の巻やシミ抜き剤などは、クリーニング師を有する奥様ならでは、といえる

松永 シミ抜き剤を置いてるあたりは、「さすがクリーニング師」って感じですね。

デカ 他にも社長が手作りした「お洗濯上手になれる虎の巻」という冊子があるのですが、このあたりもクリーニング師の資格と知識を活かしていますよね。

松永 では3店舗目に行きたいと思います。笑っていいとも!…あ、ごめんなさい。「洗っていいとも」でした。失礼いたしました(笑)。こちらの捜査結果をお願いします。

f:id:murakamihjm:20181228111222p:plain
写真:洗っていいとも武蔵小杉店

f:id:murakamihjm:20181228111235p:plain写真:「儲け無し」で販売しているイケアのバッグは大好評


デカ どうしてもタモリさんの番組を想像しますよね。オープンは2017年9月15日、神奈川県川崎市の武蔵小杉にあります。営業時間は6時から24時。運営は㈱川崎ソーラー発電さんで本業が不動産賃貸業、シェアハウス。あとは名前の通り太陽光発電事業などです。

 コインランドリー事業を始めたきっかけは事務所そばのコインランドリー事業者が破産して閉店したため、破産管財人に連絡を取り…この辺がやっぱり不動産関連会社の人らしいですよね。居抜きで買い取って、なんとこの時の金額が100万円だったそうです。

松永 はー!いいですねえ!

デカ その後2号店から6号店までを自分でオープンされたということです。掃除の頻度ですが、毎日1時間くらいかけて店内を掃除しています。

松永 なんでもクレーム対応が凄いとか?

デカ お客様の操作ミスとか、理由がどうであれお金のトラブルは全部返金対応しているそうです。「それでまたそのお客さんが来てくれるなら、返金費用は『広告宣伝費』」と言っていました。

松永 なかなかできることではないですね…

デカ ちなみにコインでは定番のイケアのバッグを原価で販売しているそうです。儲けはないのですが、サービスの一環として非常に好評だそうです。

松永 ありがとうございます。続いて4店舗目です。

デカ 「ラフマムランドリー&カフェ」。2017年の9月20日オープンですね。東京の稲城市にあります。24時間営業で朝の9時から夜の9時までは併設でカフェも営業しています。宅配ボックスのプドーも置いてあり、24時間稼働しています。プドーはボックスの何か所かは自分で使っていいみたいで、そこで洗濯代行の受け渡しをしているそうです。中に何が入っているとか、誰が何時に取りに来たなどは全てプドーによる管理で、とても便利なので洗濯代行をやる人はプドーを置くのはアリですね。売上はカフェを含んで120万円。運営はichi株式会社。本社は稲城市。代表の市島さんは元々クリーニング工場の従業員で、去年の春、都合で工場を辞めなくてはならなくなり、「次何しようかな」と思っていた時に、当時の工場長さんが協力してくれて、コインをやることになったそうです。49坪と広い店なのでカフェもやりたかったということです。

f:id:murakamihjm:20181228111532p:plain写真:ラフマムランドリー&カフェ

f:id:murakamihjm:20181228111630p:plain写真:連絡ノートはこの日紹介された他店でも活用していた

f:id:murakamihjm:20181228111707p:plain
写真:宅配ボックスのプドー

 掃除はカフェが始まる前の8時とお客様が少なくなるころの夕方の一日2回、機械を中心にやります。クリーニング工場での経験から「リントフィルターは常に綺麗にしないと乾燥時間に大きく影響する」という考えを持ち、丁寧に掃除しているとのことです。

松永 ありがとうございます。では5つ目の捜査結果です。

デカ 「次世代コインランドリーLAUNDROMAT MINAMINO(ランドロマットみなみ野)」。東京の八王子市にあります。運営は賃貸の清掃業務をやられている会社で八王子・町田・横浜を中心に飲食店、クリニックなどの清掃を行っています。賃貸経営もやっており、コインを始めた動機はマンションのテナントが空いてしまったから。マンションの付加価値になればとも思ったそう。朝と夕方の二回、掃き掃除とフィルター掃除をやっており、心掛けているのは明るくて清潔なイメージを保つこと。お客様が自由に使えるものは、アルコール除菌シート。それからウタマロ石鹸というものがあり、スニーカーに使ってほしいということで汚れたところに指などで染み込ませるそうです。あと洋服折り畳みボードなるものがありました。この上にTシャツを置いて手順を踏んで操作すれば綺麗に畳めるみたいです。

f:id:murakamihjm:20181228111804p:plain写真:次世代コインランドリーLAUNDROMAT MINAMINO

f:id:murakamihjm:20181228143048p:plain写真:洋服折り畳みボード

f:id:murakamihjm:20181228111938p:plain写真:ウタマロ石鹸は固形ではなく液体でポンプタイプ


松永 次が最後ですね。

デカ 「大型コインランドリーウォッシュプレイス世田谷中町店」。2017年の9月1日オープン。東京の世田谷区にあります。朝6時から夜中の1時までの営業で、売上は非公開。運営は不動産賃貸業をしている個人の方。始めたきっかけは「不動産市場は加熱化しており、パイはないだろうとの判断で他のビジネスを探していたら、コインランドリーが見つかった」とのことです。

f:id:murakamihjm:20181228112027p:plain写真:大型コインランドリーウォッシュプレイス世田谷中町店


 お客様が自由に使えるものはアルコール除菌シート、アルコール除菌スプレーですね。それからティッシュ、ハイジアの除菌消臭スプレーが置いてありました。

 8月26日にこのお店を取材して、次の日がゲリラ豪雨だったのですが、この店舗も床下30㎝浸水したそうです。しかし、元々世田谷の中町は浸水しやすいという予備知識があったので、機械は地面から少し嵩上げしており、故障は避けられたそうです。自分のお店がどんなエリアにあるのかをあらかじめ把握することも大事なのかなと思いました。

f:id:murakamihjm:20181228112153p:plain写真:機械を床から嵩上げして設置し、浸水による故障を回避した


大切なのは「綺麗にする仕組みづくり」〜捜査結果から見えた共通項〜

松永 捜査結果からですね、「共通していることはどんなことなのか」を来場者にご説明して頂ければと思います。

デカ 洋服を綺麗にするところが汚くては栄えるわけがないので、清潔を保つ努力と仕組みが大事ですよね。自分たちで掃除するのは勿論のこと、自由に使えるものを置いて、お客様にも綺麗に使ってもらうのが「仕組み」だと思いました。どの店にもそんな「仕組み」があると感じました。これが共通項ですね。

松永 自由に使えるものを置くきっかけとなっているのがお客様の声を聞いて真摯に対応しようとする姿勢ということですよね。

デカ また、こういう親切なアイテムを置くことで「お客様のことを考えているお店」というメッセージがお客様に伝わります。そうすれば綺麗に使ってくれて、自然と綺麗好きなお客様が集まります。決して高いコストではないので、是非真似してほしいと思います。

 これらを置くことで売上がグンと伸びるわけではありませんが、きっとイメージアップには繋がるはずです。



LBM 読者登録 お済みですか? 

www.lb-mag.com


ランドリービジネスマガジン(LBM)は、どなたでも無料でお読みいただけるフリー雑誌ですが
読者登録 いただきますと、毎号発刊時・サイト更新時にメールにてご連絡させていただきます。
お読み忘れの無いように!ぜひご登録ください。

f:id:murakamihjm:20171120172128j:plain