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REPORT/「香りの空間演出」導入店舗:「香りの空間演出」Prolitec with AirQで『古いコインランドリー』のイメージを一新! 最新フレグランス「抹茶」で他店と差別化


愛知県知多郡 コインランドリーナチュレ阿久比

 

 人の五感の中で記憶に直結するといわれている、〝嗅覚〟に訴え、店舗の認知強化や集客に結び付けるマーケティング手法が今、注目を集めている。ホテル、結婚式場、美容院…コインランドリーも例外ではない。

 中部国際空港から車でほど近い愛知県知多郡にある「コインランドリーナチュレ阿久比(あぐい)店」も香りによるブランディングを採り入れているコインランドリーの一つ。同店は、米国シアトルに本社を持つProlitec(プロリテック)社の芳香サービス「Prolitec with AirQ(エアキュー)」(以下、AirQ)を導入し、70種類以上のフレグランスの中から、最新作である「抹茶」をチョイス。緑茶のすっきりと立つ香りが、店内に広がっている。

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写真:「ナチュレ」の由来は「natural=自然」から。清潔感を連想させる名前をつけたかったという


◆「古い店」のイメージを一新したい

 運営しているのは、愛知県内を中心に直営2店舗、FC7店舗を展開している㈱lifestyle&web。阿久比店は20年以上前に開業した長い歴史を持つお店で、地元住民の認知は十分進んでおり売上も順調な一方で、店舗の老朽化が進んでおり、「『古い店』というイメージを一新したい」ということから、2019年10月26日にリニューアルオープンした。取材は2019年12月16日に行ったので、本誌は生まれ変わったばかりの阿久比店を訪れたことになる。


◆「綺麗にする場所」にふさわしい清潔感を香りで演出

 古いお店のイメージを一新するにあたって、店舗自体を綺麗に作り変えることはもちろんだが、同社は空間に広がる「香り」も重視した。

 なぜなら、コインランドリーには洗濯機特有のニオイというものが存在するからだ。配管や排水溝から店内に広まっていると考えられるそのニオイが、「品物を綺麗にする場所」としてのコインランドリー本来の役割と、「衣類や寝具を綺麗にしたい」と店にやってくるお客の気持ちとの間に矛盾を生じさせているという(=同社談)。品物を綺麗にする場所にふさわしい清潔なイメージをお客に印象付けることが大切で、その方法を模索していたところ、AirQの日本総代理店である㈱アントレックス(東京都新宿区)の全国的な販売網の中で、コインランドリーを中心に販売代理店を務めている、マルソー産業㈱(福岡県北九州市)を通じ、五感の中でも記憶に直結する嗅覚に訴えるマーケティング手法に出会った。香りを噴霧するディフューザーは、月額10,000円前後でリース可能で、「この金額をどう捉えるかは、ブランディングに対するオーナーの考え方次第だが、当社としては高くないと判断した」としてAirQの採用を決めたという。

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写真:右上の赤丸の部分にティフューザーがあり、店内に香りが広がる



 先に述べたように、阿久比店内に広がる香りのフレグランスは「抹茶」。この香りは、日本人の調香師(食品や香粧品の香料を調合する人)・大沢さとり氏の最新作だそう。主にAirQのフレグランスは大沢氏を含む4人の調香師、デザイナーがプロデュースしている(日本人は大沢氏だけ)。自身が調合した香水が、世界中の香水愛好家のバイブル「2018年世界香水ガイド」に選出された経歴も持つ、海外でも評価の高い人物だそうだ。

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写真:大沢さとり氏がプロデュースした「抹茶」の紹介文


 「抹茶」を選んだいきさつは、lifestyle&webの関係者が、とあるホテルに宿泊した際、抹茶の香りがロビーに漂っていて、とても印象に残ったそうで、「嗅覚が記憶に直結するとはこういうことなのではないか」と思い、マルソー産業の営業マンにフレグランスの要望を伝えたところ、大沢氏の「抹茶」を提案されたとのこと。

 ユーザーの希望に近い香りを提供し、空調からディフューザーの最適な設置場所を選定し、施工。店舗の規模に応じて香りの噴霧量を細かく調整するフォローまでを、すべて販売代理店が行うため、オーナーの手を煩わせることはない。

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写真:午前中は清掃スタッフが常駐している


◆『普通のお店』では生き残れない

 ちなみに、見た目(=ハード面)の変化を挙げると、店舗はPOPなイメージを意識したデザインにして、子供連れの主婦が来店しやすいように遊戯コーナーを設けたほか、大きめのソファーや充電コンセントを用意したカウンターも揃えた。

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写真:子どもの遊戯コーナー(上)と、大きめのソファー。フリーWi-Fiやコンセントも完備で「過ごしやすい空間」を意識した


 また、ここ数年、業界全体で高まっている大物洗いの志向に応えるべく、大型洗濯乾燥機も追加購入した。さらに他店との差別化のため、同洗濯乾燥機には、家庭用メーカー・㈱パネスの柔軟剤「ランドリン」の香り付きコースと無香料コースを設けており、22㎏1500円の両コースは好評でリピート率が高いという。パネスとは現在、業務用柔軟剤の開発に向けた話も進めているそうだ。そして駐車スペースを店舗横にも拡大し、駐車台数は6台→9台に。大物を洗うのにうってつけの環境を整えた。

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写真:︎新たに追加した大型洗濯乾燥機


 こうして店の見た目も中もイメージの一新に取り組んだ結果、以前のお店ではあまり目にすることがなかった、若い子供連れの主婦を見かけることも多くなってきたという。売上に関しても、リニューアル前の既存顧客を維持したまま、新規顧客を獲得したことで、11月の売上は大幅にアップしたそうだ。

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写真:看板の後ろが新たに増やした駐車スペース

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写真:名古屋まで続く道路で、周辺はベットタウン化が進んでいる



 lifestyle&webでは今後、FC展開を推進していくというが、最後に同社が語ったのは「コインランドリーは2万店以上あり、飽和状態であることに間違いはない。そこで生き残るためには、『普通のお店』ではダメ。機械の台数や、店舗デザイン、洗車機の併設などあらゆる形での差別化戦略を、開業希望者に提案していきたい。勿論、AirQもその一つ」とのことだった。

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写真:付加価値として取り入れた「ランドリン」の香り付きコースと無香料コースは好評。7割は香り付きコース、3割は無香料コースを使用しており、現在業務用開発の話をメーカーと進めている。 下の写真はテスター

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写真:競走馬をモチーフにしたキャラクター「センタクオー」。天井描かれたセンタクオーは、実はストーリー仕立てになっている

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写真:産まれて、競走馬デビューして

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写真:G1で負けて引退して

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写真:コインランドリーを始めて

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写真:結婚して子供が生まれて、G1優勝の夢を子供が果たす





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