ちょっぴりレトロな配色と文字で親しみと懐かしさを感じる台湾のコインランドリー/カラーコーディネーターによる海外の洗濯・ランドリー事情⑤ 倉永真紀子
今回は台湾でのコインランドリーのお話です。
夜に通りを通っていると一際明るい場所があって、そこにはTシャツ型の24Hの文字のライトと看板があり、すぐにコインランドリーだとわかりました。
入り口にはドアが無く、写真のように屋根のある通りに敷地があって、お隣はお店だったり家だったりします。大きな通りには面しておらず、大通りを入ってすぐのところにあります。
写真:店舗の入口。Tシャツ型の看板がよく目立つ
敷地内には自転車やミニバイクが乗り入れられているのですが 駐輪場を意図したものでは無く、いつの間にか駐輪スペースになったのでしょう。洗濯機の目の前にミニバイクがあるなんて、日本ではあまり見ない光景ですよね(もちろんドアを開けるスペースはあります)。
それでも「洗濯をする」という目的は果たせるし、それらを置くスペースが他になかったりするのでしょうか。こういった「ゆるさ」「おおらかさ」も台湾での心地いいところ。
中を一見してみると、日本のコインランドリーとさほど変わらない構成で、 大型、中型、小型の洗濯機が4台と、乾燥機が4台の計8台があります。
値段はそれぞれ洗濯=小型9㎏/約183円/50元、中型14㎏/約256円/70元、大型18㎏/約366円/100元(2018年11月現在1台湾元3.6元)
乾燥が6分/36円/10元。
写真:料金表。プリペイドカードも販売している
洗濯機には、洗剤と柔軟剤が含まれているので、利用者は手ぶらで来店可能。
この値段は日本円からするととても安く見えますが、台湾ではお店で食べる麺類1杯で約150〜200円(40〜60元/地域による)します。
この価格は少し高く感じると現地の友人は言っていました。
そして、多くの人が家で洗うのが大変な、大きな布や枕を洗うときにコインランドリーを利用するのだそう。
入り口にも「衣物、綿被、毛毯、窗簾」と書いてあって、これらが洗えますよと意味しています。 さて、この四つの単語はそれぞれ何を表しているでしょうか? 読み進める前に少し考えてみてください。
日本の漢字と少し似ているので、なんとなく意味が予想できそうですね。ちなみにこれらは…
衣物「洋服、服」
綿被「 布、枕カバー」
毛毯 「毛布」
窗簾「カーテン」
という意味なのです
特に「衣物」「毛毯」などは想像しやすいのではないでしょうか。
内装は、床以外は白を基調にしていて、壁の説明書きの所々に青、赤、緑などが用いられています。1〜4までの説明が書かれている部分の曲線や、シャボン玉のように浮かんでいるバブルの絵に「クリーニング」を意識したのかなと感じさせる物があります。
ですが、これらの内装よりも、店内の蛍光灯の激しい明るさと、Tシャツ型の看板の方が、一目で「コインランドリーだな」とわかったので、より印象的でした。
写真:日本では考えられないが、台湾ならではのおおらかさか、機械の目の前にミニバイクがある
また、お店の中には1回あたりの料金を節約できるプリペイド式の回数カードの案内や、ランドリーバッグの販売機、wifiのパスワードがあります。
写真:店内には様々な販売機があり、これはランドリーバッグの販売機。その上にはwifiのパスワードが書かれている
このお店の待合スペースは3脚のイスとテーブルがあるだけだったのですが、向かいにはゆったりできるコーヒー店がありました。
写真:イス3脚の待合スペース。店の向かいには、ゆったりできるコーヒー店が
そして、「去静電紙」の販売機を発見。
写真:こちらは「去静電紙」の販売機。日本でも目にする静電気防止のシート
「紙」と書かれてあるので何かの紙なのだろうと予想できます。これは乾燥機専用のシートで静電気防止はもちろん、入れるとシワになりにくかったり、防臭効果があるもので、日本でも使われることがあります。
台湾を訪れていると、漢字の意味が似ているものや近いものがあり、なんとなく「これは食べ物のお店だな」とか「これは駅の名前だな」などと想像できるものがたくさんあります。
少し下町の方に行くと街中の色は赤や黄、青、緑などがより多く、配色にも明るい赤と黄、黄と青など日本よりも原色や明るい色同士の配色を多く見かけます。
写真:所々に青、赤、緑などが用いられた壁の説明書き
この色がどことなく昭和時代の配色に近く、また文字のフォントも懐かしさを感じるものがあり、小さい頃におばあちゃんの家で見たような何かを感じさせ、心があったかくなります。
一方で、台北などの都市部に行くと、無機質なメタリック色や、コンクリートの色もたくさん見ます。
日本に近いものを感じるこの国の色は、やはり互いの国の距離が近いことと、歴史的にも繋がりがあることが大きいのではないかと思います。
もし観光やお仕事で行かれる際には、いつでも行けて時間の節約にもなるコインランドリーを使ってみるのも良さそうですね。
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