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TOPICS:MYMY LAUNDRY/軟水を使ったやさしい洗濯&洗車サービス。共に建築を学んだ仲間と作った店が最優秀賞に

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 昨年9月の国際コインランドリーEXPO2021に開かれた第6回コインランドリー店アワードにて【最優秀賞】を受賞したのは、三重県志摩市に昨年7月オープンしたばかりのMYMY LAUNDRY。伊勢志摩国立公園内の美しい自然の景観に溶け込む白を基調としたデザインの美しい店舗は、大学で共に建築デザインを学んだ仲間と作り上げたものだった。

 

遊休地活用にコインランドリー

 MYMY LAUNDRYを開設、運営しているのは、志摩市で給排水設備や空調設備など建築設備工事を行う前橋設備工業㈱(下写真:前橋幸樹代表取締役)。

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 前橋社長は、父親から相続した遊休地(約3,000㎡)の有効活用を検討した際に、「この地域は人手不足が深刻なこともあり、まずは人手がかからない事業で、かつ従業員が暇な時に仕事になるものはないかと考え、コインランドリーを選んだ」という。計画段階では、磯部町内にコインランドリーが1軒もなく、前橋社長の家族も遠くの店まで行っていたほか、近所の人からも「あったらいいよね」という声があったこともあり、開設に向け動き出した。

 店名のMYMY LAUNDRYは、元々は前橋社長が店のキャラクターとして考えたカタツムリ(マイマイ)からきている。「梅雨時に元気になるカタツムリと、とくに雨の日に活躍するコインランドリーをかけて、マイマイランドリーという名前にしたが、その後のブランディングの中で、『わたしの服』を大切にというMY、もう一つ『わたしの生活』を大切にという願いを2つの『MY』に込めて MYMY LAUNDRYになった」と語る。

 

軟水によるやさしい洗濯&洗車

 どうせ作るなら、他とは違うコインランドリーを作ろうと立ち上げたMYMY LAUNDRYの店舗コンセプトは「やさしい水で、お洗濯を」。この“やさしい水”とは、軟水のことだという。

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▲軟水と水道水の違いを体感できる手洗い場

 

 「以前、研修旅行で、ボイラーメーカーとして知られる三浦工業の工場見学をした時に、軟水装置の体験コーナーがあって洗濯にも有効という話を聞いた。とても良いもので、いつか何かに使えたらとずっと思っていたが、それが今回のコインランドリーとつながった」と前橋社長は語る。

 軟水は、ミネラル分を含まない水のことで、硬水は逆にカルシウムやマグネシウムなどミネラル分を多く含み、それらが洗剤などと結合して石鹸かすに変化してしまう。石鹸かすは洗浄力を低下させるほか、洗濯機や衣類に汚れとして付着してしまい、衣類の黄ばみやゴワゴワとした仕上がりの原因にもなる。

 軟水装置でミネラル分を除去した水は、洗剤の泡立ちがよく少ない洗剤量でも高い洗浄力を発揮し、また乾燥後の風合いが良くなるといわれる。

 MYMY LAUNDRYでは、洗濯機のほか併設したドライブスルー洗車機でも軟水を使用。仕上がりが違う、撥水の効きが良い、ウォータースポットが出にくいと評価が高く、「地元の自動車屋さんから割引で使わせてほしいと持ち掛けられ、提携することになった」という。

 

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▲写真左:軟水による洗いが好評の洗車機。写真右:全自動軟水装置

 

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▲店舗奥の傾斜地に太陽光パネルを設置。一部機械の動力に使用するほか売電、相殺で電気コストを削減

 

大学時代の仲間にデザインを依頼

 同店の真っ白で斬新な店舗デザインは、今回のアワードで高い評価を得たが、実は、前橋社長は大学の建築学科を卒業していて、学生時代は有名な建築物を見て回ったり、建築雑誌をよく読むなど建築デザインに触れて、卒業後は設計事務所にも勤めていたという。

 「共に建築を学んだ友だちと、いつか一緒に何か作れたらいいという夢があった」という前橋社長は、大学の同じ研究室で学んだ同期の友人二人が立ち上げた東京のデザイン事務所、㈱ノルムデザインスタジオに店舗設計を依頼。また、ロゴデザインやブランディングなどは、同じく大学同期の友人が役員になっているクリエイティブカンパニー、㈱スティーアスタリスク(東京)に依頼した。

 コロナ禍でもあり、ほとんどリモートでのやり取りではあったというが、気心の知れた友人との店づくりが進み、また水道関係は自社で工事、ほかの工事も日頃一緒に仕事をする建築業者に委託するなど、昔と今の仲間たちの手でMYMY LAUNDRYが完成した。

 

太陽光の自然エネルギーも活用

 周囲の山の緑に真っ白な美しさが際立つ店舗の前面には、前橋社長の希望でメッシュ状の金属(エキスパンドメタル)を配した。歪曲に加工して建築に使うケースは珍しいというが、店の中が見えそうで見えない、逆に店内からは外が良く見えるようになっている。

 店内も白を基調としたスッキリとしたデザイン。メッシュの仕切りの奥はペット用品専用のコーナーがあり、入口も分けている。

 洗濯乾燥機の前には手洗い場があり、軟水と通常の水道水の2つの蛇口を設置。その違いを体験してもらうようにしている。

 店の奥にドライブスルー洗車機があり、その奥の山の傾斜面には、太陽光パネルを設置し、その電力を機械の動力の一部に使用。軟水の使用とともに、自然エネルギーの採用は、SDGsの時代に合った「やさしい洗濯」といえる。

 

市と防災協定、災害時の洗濯を支援

 利用状況についてはまだまだのようだが、アワードの最優秀賞を受賞してからテレビや雑誌、新聞等の取材が続いたり、出店の要請や店のブランドを使わせてほしいといった問い合わせもあるなど話題を呼んでいる。

 「人口が少ない町で、コインランドリーが今までなかったということは、なくても済むということでもあるので思うように利用は伸びていないが、大物洗いなど使えば便利さを感じてもらえている。今後はもっと軟水洗いをPRしていきたい」と前橋社長。

 同店は、すぐ近くの総合体育館が災害時の避難所になっていることもあり、避難者の洗濯支援、携帯電話の充電などを行う防災協定を市と結んでいる。「コインランドリーと洗車サービスによりこの町の利便性を高め、災害時の支援で地域貢献を果たしたい」としている。

 




 

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