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REPORT:アクア株式会社/アクアが「ふとんのプロ」とタッグを組んだ理由。西川と共同開発、コインランドリーで洗える羽毛ふとん『ランドリエ』完成!

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▲洗濯のプロであるアクアと、ふとんのプロである西川がタッグを組んで開発したコインランドリーで安心して洗える羽毛掛けふとん『ランドリエ』。クリーンな工場にて密閉パッケージで梱包。外部から中身に触れることができない構造のため、持ち帰りから開封まで、安心安全で衛生的

 

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▲敷ふとん専用コース(洗濯のみ)を搭載した洗濯乾燥機(左の赤い機械)と、山型の敷ふとん専用乾燥機

 

 アクア㈱(本社:東京都中央区)では2021年7月、敷ふとん専用乾燥機を新発売するとともに、同じタイミングで洗濯乾燥機に「敷ふとん専用コース」を導入。また、敷ふとんに先立ち、2020年4月に「羽毛ふとん専用コース」をリリースしており、掛け・敷きを問わず、「ふとんが洗えるコインランドリー」の普及拡大を目指す。

 アクアがふとんに注力する理由は、衣類と比べ洗濯や乾燥に時間がかかることから、店舗の売上アップ=コインランドリー市場の拡大が図れることもあるが、なんといっても、ダニ・アレルゲン対策として、洗濯・乾燥の効果が非常に大きいため。日本においても、子供や若年層を中心にアトピーを始めとする様々なアレルギーを持つ人が増えているが、高温乾燥によるダニの死滅と、洗濯による残骸の除去でアレルゲンを低減させ、毎日長い時間を過ごす、寝具を清潔に保つことができるのだ。

 寝具を洗う人は、まだ少ないのが現状であるが、コインランドリーでふとんを洗う人が増えれば、コインランドリーには、「多くの人の健康を守る」という大きな役割が加わることになる。

 

コロナ禍で「洗えないもの」との認識に変化

 毎日、長時間を過ごすにもかかわらず、ふとんを洗っている人が少ないのは、なぜなのだろうか。先日、アクアとコインランドリーで安心して洗える羽毛掛けふとん『ランドリエ』を共同開発した西川㈱(本社:東京都中央区)でも、これまでは「羽毛ふとんは洗えないもの」という認識だったという。そんな意識を変えるきっかけとなったのが、“コロナ禍”であった。

 コロナの流行に伴い、西川のお客様相談室に、「羽毛掛けふとんは洗えないの?」との問い合わせが急増。それを受けて、定期的に行っている複数の部署による合同会議でも「人々の衛生面に対する考え方が変わった。『洗えません』と言い続けてきた我々も、考え直さなければ」となり、別件で親交のあったアクアと相談することに。

 

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▲両社の開発部門スタッフによる実験室での共同検証の様子

 

 早速、コインランドリーで羽毛掛けふとんがどのように洗われているのか、京都にあるアクアのアンテナショップまで足を運び、現状を確認。詳しい洗濯のメカニズムについては知見のない西川であるが、羽毛掛けふとん自体に関してはプロ中のプロ。問題なく洗えているように見えるものも、西川の目から見ると、「洗われることに対して素材や構造の改善が必要」と感じたという。

 主な問題点としては、ドラムによるタンブリングのため、機械力が加わり、中の羽毛がズレて「ダマ」になってしまい、そこだけ乾かなかったり、素材によっては側生地が破れてしまったり…。

 

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▲ランドリエは、コインランドリーの洗濯に耐えられるよう、キルトのマスの大きさや形状、縫製にもこだわって開発された

 

 ちなみに、ダウンを50%以上使っているものを「羽毛ふとん」、50%未満なら「羽根ふとん」というのだが、西川ではダウン85%以上のものを「羽毛ふとん」と定義しており、これまで「羽毛ふとんは、10年は使えます」といって販売してきた。そのこだわりは継続するべく、羽毛自体や側生地の素材、キルトのマスの大きさやキルトとキルトの交差部分の縫製など徹底的にこだわり、試作品の洗濯乾燥を1年以上にわたり何度も繰り返して、ようやく製品化できたのが『ランドリエ』。

 

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▲コインランドリーで洗える羽毛掛けふとんであることを分かりやすく伝えるPOP(西川のショールームにて撮影)。なお、ランドリエは2021年度・グッドデザイン賞を受賞してい

 

 これまで「羽毛掛けふとんは洗えない」としてきた西川では、「ランドリエの誕生は“(寝具)業界を変える”出来事」とまで捉えているそうだが、実際に2021年9月にランドリエを発売すると、メディアの関心も高く、想定していた以上の媒体で取り上げられたほか、待ち望んでいた消費者からも、高く評価されているという。

 その西川では、今回のランドリエ開発で満足するのではなく、「羽毛掛けふとんよりさらに多くの課題があるが、今後はコインランドリーで『洗える敷きふとん』も開発していきたい」と話している。

 

 洗濯のプロであるアクアと、ふとんのプロである西川がタッグを組んだことで布団洗いの認知はますます拡がり、それぞれの業界が大きく変わることになりそうだ。

 




 

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