コインランドリー情報誌 ランドリービジネスマガジン LBM

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「クリーニングとコインランドリーの併設」はもう当たり前!? パンケーキの提供や女性専用店まで

洗濯しながらパンケーキが楽しめる!

〈大阪〉㈱ノムラクリーニング

 

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 ホームクリーニング市場は苦境が続いているが、同じ“洗う”業種であるにもかかわらず、成長市場となっているのがコインランドリー。コイン施設数はこの20年で2倍に増加しているが、2016年2月に日銀がマイナス金利を導入したこと、またコインはホームクリーニングと違って新規参入が容易であることから、まだまだ増えていきそうだ。

 

 女性も気軽に利用できるよう、清潔で入りやすい店が続々とオープンしているが、そうなると課題となるのが他店との差別化だ。もともとコインランドリーはセルフサービスであり、洗い上がりや時間、料金に大きな違いはないことから、よりキレイで新しい店ができたら、利用者はそちらに移ってしまうことも珍しくない。
 そこで、他のコインランドリーにはない特徴・コンセプトを持った店が増えている。
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 クリーニング大手の㈱ノムラクリーニング(本社・大阪府八尾市、河野朋弘社長)ではコインランドリー併設店を多数展開しているが、2016年7月、大阪府吹田市にコインランドリーとパンケーキを提供するカフェとの併設店(ニノーバル・ウォッシュ・カフェ吹田紫金山店)をオープン。食べログパンケーキ№1を獲得したニノーバルカフェ(㈲PHI、中立公平社長)へ同社から声を掛け、独占フランチャイズ契約を締結。おしゃれで居心地の良い空間で「家事=洗濯」をしながら、食べログNo1店の「味と素材にこだわったパンケーキ」が楽しめる店となっている。

 

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 店内は中央がキッチン、右側がカフェの客席で、左側がコインランドリー。コインは洗濯乾燥機(5台)、洗濯機(1台)、乾燥機(5台)の他、スニーカーランドリー(1台)も。その機械は新進気鋭の女性アーティストにより大変身。“おうちの水族館”をテーマに、手作り感を残したタッチのイラストが描かれている。
 同社がコイン併設店を多数展開しているのは、やはりリスクの分散を狙ってのこと。同店では、コイン+カフェに加えクリーニングの取次を行う構想もあったそうだが、スペースの関係でクリーニングは見送っている。

 

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(写真)店内は中央がキッチン、右側がカフェの客席で、左側がコインランドリー。パンケーキはノムラのスタッフが調理する


 食べログNo1店の「味と素材にこだわったパンケーキ」は、研修を重ねた同社のスタッフが調理する。クリーニング店でありながら、こうしたオシャレなカフェも運営することに対し「女性スタッフは喜び、誇らしく感じているようだ。今後、人材募集の際にもいい影響があるのでは」と同社。

 

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(写真)「ニノーバルは食材に、ウチは品質にこだわっており、両社のブランドイメージが合致すると考えた」とノムラ

 

 また、コイン+カフェの相乗効果については、「かなり感じており、土日は1/3ほどの方がコインの待ち時間にカフェを利用している」という。また、パンケーキの提供については「外部に頼むのではなく、自社でやるからこそ意味がある。ただ、とても大変!」と話しているが、同様の形態の併設店舗を2017年3月に大阪府泉大津市でもオープンさせるそうだ。

 

 

男性お断り! 女性専用のコイン店

〈広島〉小柴クリーニンググループ

 

 広島県で180店舗を展開する小柴クリーニンググループ(本部・呉市吉浦新町、小柴繁美社長)では、そのうち22店舗でコインランドリーを併設。今年3月にオープンした小柴クリーニング八幡2丁目店(広島市佐伯区)は、県内でも初めての「女性専用コインランドリー」となっている。

 

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(写真)左がクリーニング、右がコインランドリー

 

 全国的にも珍しい「女性専用」とした理由は明確だ。「広島市内でコインがものすごく増えており、この1年で半径1㎞に4件もオープンしている。他店とただ同じことをやるのではなく、女性専用とすることで、これまでコインを利用していた女性はもちろん、利用したくても男性の目が気になって利用できなかった女性を新たに獲得したいと考えた」と小柴社長。

 

 そこで、若い女性スタッフ4名で社内にプロジェクトチームを結成。設備やデザイン、レイアウトに“女性目線”を取り入れた。

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(写真)リーダーの西浦佳奈さん

 

 チームから生み出された意見の一つが、店内で座って待っている際、外から足元が見えないようコインのスペースだけ腰の位置まで曇りガラスにしたこと。「足元が外から丸見えだと、座りたくないだろうと考えました」とリーダーの西浦佳奈さん。この他にも、除菌スプレーや除菌ふきんを用意したり、ひざ掛け毛布の貸し出しを行ったりと、チームの意見が数多く採用されている。実はリーダーの西浦さんは、高校生の時に同社でアルバイトをしており、卒業後そのまま就職。キャリア6年というベテランだ。

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(写真)敷地内にある大きな看板

 

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(写真)クリーニングとコインの営業時間

 

 同店は30~40代の主婦の利用が多く、子どもが学校や幼稚園に行っている日中のほか、雨の降った翌日、また土日は平均して稼働率が高いという。

 

 機械は小型洗濯機1台、洗濯乾燥機が小型・中型が各2台、大型乾燥機2台に2段式乾燥機3台の計10台で、評判がいいのが洗濯乾燥機。「洗濯から乾燥まで、入れ替えることなく1台で済むので便利」と喜ばれており、その約1時間の間に近所のスーパーで買い物をするなどして時間を有効に活用している。

 

「女性専用」のデメリットも

 「県内初の女性専用コイン」ということで、開店直後には新聞や雑誌の取材も多く、その報道を見てやってきたという利用者も少なくないそう。反面、女性限定としたことによるデメリットもある。例えば、併設のクリーニングまで女性専用と思われてしまう等の誤解だ。

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(写真)中央のパネルが緑とピンクの4台が洗濯乾燥機

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(写真)併設店だからこそ、機械の使い方等の気軽も質問できる

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(写真)コインのスペースだけ腰の位置まで曇りガラスに。除菌スプレーや除菌ふきんも置かれている

 

 しかし、小柴社長は「これだけコインが増えているのだから、周りと同じことをやっていてもダメ。今までコインを使ったことのない人(利用したくても男性の目が気になって利用できなかった女性)を特に狙っているので時間はかかるだろうが、パイの奪い合いではなく新たな需要を創造していきたい」と、じっくりと取り組んでいく意向だ。

 

 また、同社で22店舗もあるクリーニングとコインランドリーの併設に関しては、「クリーニングはいいが、コインは今一歩、逆にクリーニングは今一歩だが、コインはいいなど、トータルでバランスが取れればいい。併設ならではのメリットとして、コインの利用時に機械の使い方が分からなければ、クリーニングのカウンターに気軽に声を掛けられるし、コインの集金や掃除はカウンタースタッフが行うから、管理面でのコストも抑えられる。併設と単独施設とでは、損益分岐点はかなり違ってくる」と語った。

 

(ランドリービジネスマガジン編集部)

 

 
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