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REPORT:人気住宅街・目黒に〝進化系コインランドリー〟 コインランドリー・洗濯代行・クリーニング・カフェ・グッズショップ、5つのサービスを1つの店舗で

フレディレック・ウォッシュサロン トーキョー

東京都目黒区

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写真:︎東京都・目黒区のフレディレック・ウォッシュサロン トーキョー

 2回目の開催となった「コインランドリー店アワード」で全国に数多あるお店の中から見事【最優秀賞】に輝いたのは、〝進化系コインランドリー〟として2017年7月のオープン当初からマスメディアにも多く登場している、東京都目黒区の「フレディレック・ウォッシュサロン トーキョー」だった。

◆ベルリン発人気ランドリーの〝世界第2店舗目〟

 ドイツ・ベルリンにある、洗濯機を回している間に美味しいコーヒーを楽しめ小さなショップもある——という「フレディレック・ウォッシュサロン」の〝世界第2店舗目〟としてオープンしたお店で、家庭用品の卸売りなどを行っている商社の㈱藤栄(東京本社・東京都目黒区)がその独特の世界観に共感し、2009年にオーナーであるフレディ・レック氏とライセンス契約を結んで、洗濯関連グッズの販売を日本で開始。

f:id:murakamihjm:20180517034052p:plain写真:︎入り口正面にあるコインランドリー

 フレディ氏の独創的なパッケージデザインはロフトや東急ハンズなどで人気を呼び、販売開始から8年が経ち、一定の売上を確保できるようになったことからコインランドリー事業も行うことを決めた。

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写真:フレディレックを構成する5つのサービス(左)。コインランドリーは24時間営業で、入り口右手にある洗濯代行・クリーニング・カフェ・グッズショップは21時でシャッターが降り、入れなくなる

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写真:コインアワードのトロフィーは、会計コーナーに置いてある。お客との雑談のネタとして活躍(?)、今年は年賀ハガキにも掲載したという

◆前面ガラス張り、44坪の広大な店舗

 店は東急東横線学芸大学駅より徒歩13分のところにあり、前面ガラス張りの明るい店内は44坪とかなりの広さ。しかし、コインの機械は10㎏と16㎏の洗濯乾燥機が各2台、14㎏の2段式乾燥機が4台に25㎏の乾燥機が1台(他にスニーカー用が1台)とそれほど多くはなく、店全体に占めるコインのスペースは3分の1ほど。残るスペースはフレディレックのグッズショップにクリーニング(取次)、洗濯代行のコーナーのほか、オリジナルブレンドのコーヒーやエスプレッソ、マフィンなどの軽食も楽しめるカフェラウンジ(フリーWi-Fi完備)と、かなり広い客席スペースがある。クリーニングとカフェにはそれぞれパートスタッフが1人ずつ朝9時から夜9時まで常駐している。

f:id:murakamihjm:20180517034312p:plain写真:カフェラウンジ。写真奥にキッチンがある

f:id:murakamihjm:20180517034404p:plain写真:フレディレックのグッズショップ。松延氏曰く「フレディ氏のパッケージのデザイン性をそのまま活かし、機能性は日本の技術を採り入れている」という

f:id:murakamihjm:20180517034437p:plain写真:松延氏は会社に偶然置いてあった雑誌の記事でフレディレックの存在を知り、アポなしでベルリンに向かって、ライセンス契約への第一歩を踏み出したそうだ

◆ランドリーシーンを生活コミュニティに

 藤栄の商品企画チームで洗濯関連グッズ販売の企画立ち上げを任され、現在は同店舗のプロデューサーを務める松延友記氏に出店地選定の経緯を尋ねると「今までのコインは、一人暮らしの学生や単身のサラリーマンなどが洗濯のためだけに使うイメージだったが、フレディレックのターゲットはそれらとは真逆の〝ファインカジュアル(究極の中間層)〟。カジュアルに暮らし、流行に敏感、ラグジュアリーなことにも関心を持てる人たちに来てほしい。そんな人たちが暮らす街を探したら、偶然、学芸大学周辺にたどり着いた」と話していた。取材当日も子ども連れの女性客を多く見かけ、学生の客もいたが、女性客は洗濯をしながら待ち時間を子どもと遊んで過ごし、学生はカフェラウンジでコーヒーを飲みながら読書をしており、松延氏が語る「以前のコインの使い方」をしている人は見当たらなかった。

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写真:松延氏は、お客とのコミュニケーションにも積極的。「近所のクリーニング店の女性店主」を参考にしたとのこと

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f:id:murakamihjm:20180517034718p:plain写真:︎クリーニングはワイシャツ190円、スーツ上下1100円など。洗濯代行は小(30L)が1500円、大(50L)が2200円。デリバリーも行っており、片道あたり+400円。松延氏がクリーニング師の資格を所有し、クリーニング所として保健所に届け出済み

 さらに、「ランドリーシーンからあらゆるモノ、コトを発信し、地域に溶け込んだ生活インフラを目指す」としており、5つのコンテンツ(コイン・洗濯代行・クリーニング・カフェ・グッズショップ)を一つの空間に揃えた理由はそこにあるという。

◆東京の人気住宅エリアへの出店。気になるコスト回収

 具体的な数字は公開できないが、取材中、同店の運営にかかるコストを聞いてみた。中目黒、自由が丘といった東京の人気住宅街がひしめく目黒区への出店ということもあって、家賃は相当高く、かつスタッフも雇用して人件費もあり、ランニングコストはかなりの金額だった。しかし、長年の販売実績を持つグッズの売上で家賃のほぼ全額を回収し、月の売上もコインランドリーの平均売り上げを遥かに上回っていた。

 ハイセンスでオシャレなイメージが強いこの街には、高感度の消費者が集まっており、丁寧なブランディングによって作り込まれた空間が人々に受容されやすいものになるのだろう。お店の外観を撮影する際、店を通り過ぎるマラソンランナー、サイクリストなど前面ガラス張りの店舗を見て「ここコインランドリーなの?」「凄くキレイ!今度行ってみよう!」と会話しながら店の前を通り過ぎる人達が多かったのが、印象的だった。


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