REPORT：〝災害時の生活インフラ〟としてコインランドリーが果たすべき役割、北海道地震の直後から24時間営業を実施／コインランドリーの経営を支える海渡産業㈱・ユーザーの取り組み
海渡産業㈱
北海道石狩市 ㈱エースランドリー
2018年９月６日午前３時７分——北海道の胆振（いぶり）地方中東部を震源としたマグニチュード6.7の地震が発生。最大震度７の強い揺れを観測した。
この地震により、道内最大の電力を供給していた苫東厚真火力発電所の稼働がストップ。北海道電力管内の約295万世帯で停電が発生し、日本で初めて電力会社管内のほぼ全域で電力が止まる〝ブラックアウト〟が起こった。さらに、震源地に近い地域を中心に約１万5000世帯で断水も発生し、ライフラインに大きな被害をもたらした。
そんな中、震災直後より、通常６時から24時までの営業を24時間営業にして、いち早く地域住民の「衣」の部分での支援に動いたのが、千歳市のクリーニング併設「コインランドリーHappy Wash千歳店」（運営はクリーニング業大手の石狩市・㈱エースランドリー）だ。
写真：Ｈａｐｐｙ Ｗａｓｈ千歳店
同店は９月６日、停電の影響で丸一日休業。機械の故障や断水は無かったことから停電が解消された翌7日より営業を再開することを決め、その際、同社の松山次長がクリーニングの受付スタッフにヒヤリングしたところ、車で30分の距離に位置し、震源地に近く、断水が発生していたむかわ町や安平（あびら）町の住民が普段から利用していることが分かった。また、営業再開当日は開店前の早朝から多くのお客が店頭に並んでいたため、松山次長はすぐに本社の了解を得て7日より24時間営業を開始した。
写真：24時間営業は当初は２週間の予定だったが、利用者の要望を受けて11月末までに延長。下は24時間解放した充電用コンセント
いざ営業時間を拡大したところ、アナウンスをしたわけでもないのに、「千歳に24時間営業のコインランドリーがある。携帯の充電用にコンセントも24時間開放している」という話は利用者伝いで瞬く間に広がり、洗濯・乾燥機を求めたお客が店の外まで長蛇の列を成すこともあったという。松山次長は「家で洗濯ができない皆さんが利用されたのではないかと思います。24時間営業にしてデータを確認したところ、（通常は閉店時間帯の）深夜１時や２時の利用の記録が残っていました。早朝５時には多くの機械が稼働していて驚きました」と話していた。
取材を行った11月７日。この日もなお、むかわ町や安平町には仮設住宅での暮らしを余儀なくされている住民がおり、「まだ支援が必要」ということと、利用者から「24時間営業を続けて！」という声が多かったことを受け、当初の予定を大幅に伸ばし、11月の末まで24時間営業を続けるそうだ。その後は降雪が本格化し、無人となる夜間に積雪で店舗への出入りができなくなる懸念があるため、「検討中です」とのことだ。
今回の取り組みを「水道などのライフラインが止まると、何もできません。私の家でも断水が起こり、家族は近所のコインランドリーを利用していました。『近くにこういう所があると助かる』と思って24時間営業を始め、お客様から感謝の言葉を頂いて〝災害時の生活インフラ〟としてコインランドリーが果たす役割は大きいと感じました」と松山次長は振り返っていた。
写真：エースランドリーの松山次長
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◆給水の仕組みについて確認を
千歳市内でも水が使えなくなった世帯は存在したが、そのほとんどはマンション。戸建てとの差は配水の仕組みだ。マンションでは一度屋上のタンクに水を汲み上げ、そこから各世帯に水を送る構造が多い。地震が発生すると、汲み上げの機械などが故障し、配管にトラブルが無くても水が届かないケースが多くあるそうだ。しかし、戸建ては汲み上げ式ではないため、大元の供給源や配管に支障が無ければ問題は生じない。同店で水のトラブルが無かったのも、戸建てだったことが要因の一つとしてあった。マンションの一階でコインランドリーをやるような場合は、給水の仕組みについて確認したほうが良いかもしれない。
※北海道〜関東までのコインランドリーの開業に関する相談は海渡産業㈱コインランドリー事業部（ＴＥＬ011-836-3655）まで
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