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INTERVIEW:国内市場でトップを独走するアクア、さらなる拡大目指し「業務用洗濯機事業本部」を新設

 

アクア株式会社

 世界最大の白物家電メーカーであるハイアールグループ(中国)の一員で、コインランドリー機器メーカー大手のアクア㈱では、2018年10月1日付で「業務用洗濯機事業本部」を新設。販売台数シェア73%※と、国内市場においてトップを独走する同社だが、業務用洗濯機事業のさらなる拡大を目指すという。LBMでは、同事業本部の本部長に就任した森田昌治氏に、事業本部新設の狙いや今後の展開などについてインタビューした。

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写真:このほど新設されたアクア㈱業務用洗濯機事業本部の森田昌治本部長



——森田本部長の経歴をお教えください

 もともと1986年に三洋電機に入社して、2012年にハイアールに事業譲渡したときのAQUAブランドの立ち上げも経験しています。商品企画やマーケティング本部の責任者を経て、直近の2018年1月から9月までは経営戦略本部長をやっていました。

f:id:murakamihjm:20181217123927p:plain写真:2018年10月、都内で開催されたコインランドリー・サービスの2回目のハッカソン(別掲記事)であいさつする森田本部長


——ハイアールは白物家電で9年連続ナンバーワンですが、グループの中で洗濯機はどのような位置づけなのですか? また、業務用洗濯機事業本部の役割は?

 ハイアールには洗濯機本部というのがありますが、中国国内のコインランドリーは現在50〜100店舗程度と非常に少ないため、グローバルナンバーワンと言っても、洗濯機は民生がメインです。したがって、業務用の洗濯機ビジネスにおいては、グループの中ではアクア㈱が突出して伸びていますし、ビジネススタイルも我々独自で引っ張って行っている部分もあります。

 中国や東南アジア、欧米などのインバウンド利用も増えています。日本のコインランドリービジネスが非常に成長しているというところに関心があっても、そのノウハウがハイアール本社にもまだまだ少ない。そこで、日本のアクアがグローバルのコインランドリービジネスを引っ張れということになりました。スピードや責任・権限も含めて加速させるべく、1つの商品企画のグループではなく、社内カンパニー的な位置づけとなって「業務用洗濯機事業本部」ができました。

 日本のビジネスをそのまま輸出して成功するか、とてもチャレンジングですが、いろいろと学びながらやってきたい。一方で、我々には日本のコインビジネスを引っ張ってきたノウハウに加え、グループ全体としては大きな経営リソースがあるので、それをうまく活用しながら、グローバルでのコインランドリーを広げていければ、と考えています。

——今回、業務用洗濯機だけが社内カンパニー的な存在になりましたが、事業規模はそれほど大きくなっているのですか?

 事業譲渡のあった2012年と比べ、3倍近くまで伸びています。ですので今回の事業本部には、今までのアクアの枠組みとは異なり、商品企画や開発、生産、ビジネスプランを作る、など業務用洗濯機にかかわる全ての部門・機能が一つとなりました。

 バックボーンはそれぞれ違いますが、皆が同じ目標に向かうべく、士気を高めて引っ張っていくというのが私の役割ですし、理想的な組織になりました。

——好調が続くコインですが、「そろそろブームも終わるのでは…」との声も聞こえてきます

 2016年ごろから活況を呈してきて、店舗数も増え、オーナーさんも増え、新規に参入される方も増えてきました。しかし、利用率は10%程度と、まだまだ高くはない。利用率が20%、30%と上がっていけば当然、稼働率も上がっていくし、出店も広がっていくはずで、いまコインは国内に約2万店舗と言われていますが、コンビニ(5万店舗)くらいまで行くポテンシャルはあるのでは、と思っています。

 共働き世帯が増え、洗濯という家事に対する価値観も昔とは変わってきており、限られた時間の中で時間を有効に使いたい(時短)というニーズが拡大しています。昨今のコインは洗濯乾燥機が稼ぎ頭になっていて、洗いから乾燥まで1時間で終わって、洗濯をしている間に買い物など他のこともできる、そんな便利な場所だということを多くの方に知っていただくことで、利用率はまだまだ上げられると考えています。

 さらに、ただ洗濯をしてきれいにする場、にとどまるのではなく、コインランドリーが1つのHUB(中心・中核)になって、他のサービスや異業種とのつながりを作ることによって、もっとビジネスチャンスを拡大していきます。

——トップメーカーである御社の取り組みに期待しています。本日はどうもありがとうございました


※2018年1〜6月において、同社調べ

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エンジニアなど様々なアイデアを持つ人々を集め

2回目のハッカソンを開催

 アクア㈱では2018年10月27〜28日の2日間、IoTを活用した新サービスのプロダクト化目指す『AQUA IoT & Laundromat Hack!』(以下「ハッカソン」)を都内で開催。コインランドリー店舗が社会インフラとなりつつある昨今だが、さらに素晴らしいユーザー体験を生み出すべく、行っているもの。

 机上の空論ではなく、「コインランドリー体験が大きく変わるような最先端のIoTプロダクト、もしくはWebサービス・アプリ」の提出が求められる本格的なもので、エンジニア、デザイナー、プランナーなど様々な知見やアイデアを持つ人々に参加を呼びかけており、優勝すれば賞金として10万円、さらにプロトタイプ(試作品)制作まで開発が進めば、謝礼金として40万円(合計50万円)をアクアが用意。同年3月以来、2回目となる今回も若手のソフトエンジニアらが参加した。

 ▽「店の場所が分からない」「待ち時間がもったいない」を解決するべく、LINE上で現在地をあげるだけで一番近い店をGoogle mapで案内、機械の空き状況の把握と共に、待ち時間を有効に使えるように提携店舗情報を提供する、▽「24時間のうち、1.2時間(5%)しか動いていない個人宅用洗濯機をなくそう」として、いつも家で行っている忙しい人の洗濯を、時間に余裕のある人がコインランドリーで代行する——などのアイデアが出されたが、見事優勝したのは、洗濯終了後のロック機能に関するものだった。

f:id:murakamihjm:20181217124031p:plain写真:審査員に自身の開発プランを説明する参加者(右端=つくるラボッチさん)

 アクアには「安心ロック機能」があるものの利用率は低いという。そこで、料金後払いや分単位での料金計算、完全オンライン決済(LINE Pay)等を導入することで、オーナー側はサービス向上や単価アップ、また、利用者側にもドアロックという安心機能が、決済も含めて簡単に利用できるとの提案。発案者は「つくるラボッチ」さんで、なんと前回の優勝者でもあり、2連覇を飾った。


アクア株式会社
【東京本社】東京都中央区日本橋堀留町1-11-12 JPR日本橋堀留ビル3階
【大阪本社】大阪府大阪市淀川区宮原3- 5-36 新大阪トラストタワー 14階
【問い合わせ】業務用洗濯機お客様ご相談窓口(受付時間9時~18時)
TEL:0120-656-292 FAX:0570-060-292
【事業内容】家電製品、AQUAブランド製品の企画・販売・新規事業開発、洗濯機・冷蔵庫の製造
創立 2012年1月5日
資本金 9,000万円
従業員数 297人(2018年1月現在)
【URL】http://aqua-has.com

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