コインランドリー情報誌 ランドリービジネスマガジン LBM

国内唯一無二のコインランドリービジネス情報誌




KEY WORD〔香りの空間演出〕:「インテリアのプロが建てたコインランドリー」心地良い香り広がるオシャレな空間、複合商業施設と併設の店


LAVANO高塚店(静岡県浜松市

 

 11月のとある日、記者は静岡県浜松市にあるカフェ、雑貨ショップ併設のコインランドリー、「LAVANO(ラバーノ)高塚店」を訪問した。浜松駅から車で20分ほどの国道257号線沿いにあるこちらのお店は地域のコミュニティとして、人が集まる空間。一体どんなお店なのだろうか?

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 片開きの扉を開けると、カフェスペースと雑貨コーナーがあり、その奥にコインランドリーがある。カフェ、雑貨のエリアは床を始め、各所に「木」を採り入れたオシャレなデザインの空間となっていた。その奥にあるコインランドリーエリアには大型・中型・小型の洗乾機が各2台ずつと、大型乾燥機が1台、二段式の中型乾燥機が6台設置されていた。店舗の道路側に面したほうは、全面ガラス張りとなっており、外から店内の様子がしっかりと見えるのもよい。

 外も中も非常に洗練された印象を受ける店舗なのだが、実はこちらのお店、浜松市内で創業38年の注文住宅、店舗建設からリフォーム、不動産業を手掛け、トータルに人々の住生活を支えてきた㈱寿建設が自ら施工運営しているコインランドリーだそう。「インテリアのプロが建てたカフェ併設のコインランドリー」と言われれば、確かにその洗練された店構えと店舗空間にも納得できる。高塚店のほか、浜松市内に2店舗を有し(いずれもコイン単体の店)、要望に応じて、オーナー店の設計・建設も行っている。

f:id:murakamihjm:20181228103537p:plain 写真:LAVANO︎神田店(オーナー店)。夜は外から店内が良く見える


 高塚店はカフェ併設のコインランドリーでありながら「人が住む空間」を意識して設計。店内にはソファーなども置いてあり、デッキスペースもあったため記者も思わず家にいるような感覚になってしまった。そして、同店には地域のコミュニティとしての役割だけではなく、寿建設のプロモーションの役割も果たしている。「人が住む空間」を意識した設計の理由はここにあるのだ。そで効果だが、実際、同店と後述の複合施設「イルクル」を開業した2018年6月以降の同社への問い合わせ件数は、開業前から大きく伸びているという話をこの日、お店にいた鈴木義徳専務から伺うことができた。

 さて、家にいるような感覚になれる居心地の良い空間だから、この日も常連のお客が店で長い時間を過ごしていた。赤ちゃん連れのママとその友達が鈴木専務の10歳下の弟で店舗責任者である鈴木勢人(せいと)さんと時折談笑する姿も見られ、和気あいあいとした店舗の雰囲気は非常に良かった。カフェに用意された打ち合わせスペースでは「イルクル」のテナントの一つである美容院の店主である青年が商談を行うなど、過ごし方はまさに自由だ。気が付けば記者もお店に来てから2時間以上が経過していた。

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写真:勢人さんの友人も来店していた

f:id:murakamihjm:20181228103027p:plain写真:写真左側の男性が鈴木勢人さん

f:id:murakamihjm:20181228103106p:plain写真:美容院の青年店主(奥)が商談を行っていた


 「仕事をしなくては!」ということで記者が次に訪れたのは、隣の複合商業施設「イルクル」。こちらも寿建設が運営しており、2階建てで、1階は和スイーツ、クレープ、サンドイッチなどの飲食ができるお店や鍼灸治療院、美容院などがあり、2階にはバルコニー、そして広告代理店のオフィスなどがある。ラバーノに来るまでの国道257号線の道沿いはスイーツが食べられるような目ぼしい店がない(あるのは静岡県内で有名なさわやかハンバーグくらいだった)ため、地域住民にとっては浜松駅まで行かなくても色んなスイーツを味わうことができる点が嬉しい。この周辺では存在感の際立つ商業施設だと感じた。

f:id:murakamihjm:20181228103910p:plain写真:︎複合施設イルクル

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写真:カフェスペースのソファー。フリーWi-Fi、コンセントあり

f:id:murakamihjm:20181228103441p:plain写真:まるで家にいるかのようなデッキスペース。お客さんの飲食も可能。リードフックも設置されていて犬を連れてくることも可能

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写真:メニュー決めも調理も勢人さんが行う

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写真:記者は抹茶ラテをご馳走になった

f:id:murakamihjm:20181228104034p:plain写真:2階にあるテラス。ハンモックもあった

f:id:murakamihjm:20181228104146p:plain写真:買ったものをその場で食べられる

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写真:「和イーツ 夢や」


香りのディフューザーAir Q」を導入

 話はラバーノに戻るが、このお店で過ごしていると、定期的に何やらアップルのような爽やかな香りが、鼻へ抜ける感覚があった。おしゃれで洗練された空間なだけに、「リードディフューザーでもおいてあるのかな?」と思っていたのだが、香らない時間帯もあったので、勢人さんに「この香りは一体何ですか?」と尋ねると、香りの元はインテリア雑貨の販売を行う東京のアントレックスが提供している「Air Q」という香りのディフューザーだった。主にはブライダルやアパレル店舗などで、「香りによる空間演出(=ブランディング)」のため、全国で14,000台の導入が進んでいるものだが、他の店との差別化を図るため、コインランドリーで導入する店舗も急速に増えているアイテムだ。

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写真:コインランドリー奥に設置されたAir Q


「いつも素敵な香りがするお店」の印象

 ふとした時に香るのは、ディフューザーの設定で、香りを噴霧する時間間隔を調整できるから。鈴木専務が、カフェ併設のオシャレなコインランドリーにコイン特有の柔軟剤や機械のニオイは空間に合わないと思い、香り系の何かを探していたところ、2018年9月に東京ビッグサイトで開催された第3回 国際コインランドリーEXPOで「Air Q」と出会った。これ1台あるだけで空気に乗った香りが店全体に行き渡り、消臭効果もあるということで、「これはいいと思いました」と鈴木専務。70種類以上の香りの中から「Enchanted(エンチャンテッド) Apple」を選び、みずみずしくジューシーな香りに満足しているとのこと。月額10,000円前後でリースでき、設置やメンテナンスはアントレックスで行っている。

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写真:寿建設のパンフレット


 記者は以前、嗅覚というものは五感の中でも特にダイレクトに脳に作用するといった話を聞いたことがある。消臭効果だけではなく、何度も店に足を運べば、「ラバーノはいつも素敵な香りがする」というお店のイメージ戦略にも役立つ。朝早く東京を出て、浜松に赴いた記者の帰りの足取りが非常に軽かったのは、この洗練された空間でこの香りを感じ、何か納得をしたような気持ちになったからなのだろう。


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