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REPORT:第4回コインランドリー店アワード 【最優秀賞】 受賞店・住宅街にポツンとある70年続く美容室に併設、家族みんなで行けるランドリー


 2019年のコインランドリー店アワードで最優秀賞に選ばれた「ハルランドリー」に設置されているランドリー機器は、わずかに4台(8㎏と15㎏の洗濯乾燥機が1台ずつに2段式乾燥機が2台)。過去3回の受賞店と比べると、かなり小さな規模となる。

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写真:ランドリー機器は、わずかに4台

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写真:考え抜いたというシンプルな案内パネル


 そのハルランドリーがあるのは兵庫県高砂市の人口10万人の住宅街。現代表である濱田健太さん(41)の祖母が始めた70年以上営業する美容室に併設されたのがハルランドリーで、4月にオープンしたばかり。ちなみに店名の「ハル」は、美容室の創業者である祖母(はるさん=2010年に死去)からとったもの。

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写真:住宅街にポツンとあるハルランドリー。中央の茶色の扉がランドリーの入口で、緑の扉はヘアサロンの入口。2階はカフェの「はま茶」


 濱田家は、はるさんだけでなく、健太さんの両親に健太さん自身、弟もという美容師一家。はるさんの子供である隆さんが2代目で、隆さんの子供である健太さんが3代目という、まさに家族経営のヘアサロン「hull(ハル)」は住宅地にポツンと存在している。カット席7、シャンプー台3に個室1と美容室としては小さくはないが、利用客も働くスタッフも、みな同じ町に暮らしている人たち。健太さんは、父からの「店を継いでほしい」との要請に応えて店に入る28歳の時まで神戸の美容室で働いており、「都会ではありえない環境!」だと驚いたそうだ。

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写真:祖母が立ち上げ、70年以上続く美容室にランドリーを併設した


 そんな地域に根差した美容室なので、夫婦や親子など2人以上での来店は日常の風景に。そこで、待ち時間の苦痛解消になればと10年ほど前、2階にカフェを併設。健太さんの奥さんが店長を務めており、席数も22とゆったりできるので、今ではカフェのファンも多いという。昼時には人気のランチも提供している。

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写真:ランチも提供している2階のカフェ。オリジナルの「たかさごプリン」は高砂市観光物産推奨品として認定されている


 前述したように、ヘアサロンのスタッフも同じ町に住んでおり主婦が9割、0歳児の母もいる(延べ人数でスタッフはヘアサロンが10人、カフェが7人)。周りではキャンプが流行っていて、キャンプ自体は楽しいものの、帰ってくると洗濯物の山…。洗濯はまだまだ主婦の仕事と考えられることが多いため、スタッフの困りごとの一つになっていることを知った健太さんが「何か助けになることはないか?」と考え、たどり着いたのがヘアサロンにコインランドリーを併設することだった。

 「美容室は人と1対1でしかできない仕事。カフェも誰かが作って、出して、下げてと、人が人にする仕事。それに対し、機械が勝手に洗ってくれるコインは、非常に便利な存在。美容室に来る人はおしゃれで、もっと遊びたいと考えている人が多いので、ウチのスタッフも含めて、女性を洗濯から少しでも開放できればと考えた」と健太さん。

 自店のイメージに合う機械ということで、エレクトロラックスに相談してみると、ランドリーの利用経験者が少なく、しかも住宅街との立地のため、当初は「向いていない」と言われたそうだ。しかし、「このヘアサロンに来たことで『コインランドリーって便利!』と知ってもらい、利用習慣が始まるランドリーにしたい」との考えをしっかり伝えると、「それは面白そう!」と話が進んだ。

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写真:アワード最優秀賞を受賞したことを各カット席でも大きくPR。工事していたことを知っているお客も多く「良かったね!」と喜んでくれているそうだ


 実際にランドリーができると、多くのスタッフたちも使っているのでヘアサロンの利用客に実感を込めて「めっちゃいいよ!」と伝えており、ヘアサロンを利用する際に洗濯物を持ってくる人も増えているそうだ。

 「おしゃれでかっこいい」「〇×が併設されている」「様々なサービスがあり、使い勝手が良い」など、コインを評価する指標は色々とあるだろうが“コインのニュースタンダードを目指し、家族みんなで行けるランドリー、それがハルランドリー”とのコンセプトを、筆者を含めたアワードの審査員が高く評価し、満場一致で最優秀賞に選ばれたことを最後に記しておきたい。

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写真:濱田健太さん(右)と父の隆さん。隆さんはアワードの直後に法人(㈲ミスターハマ)としても社長を健太氏に譲り、取締役会長になった。一方の健太さんは、最優秀賞の受賞あいさつで「父はまだ現役の美容師だが、どんどん変化する店を理解して、僕に任せてくれる。この賞をとにかく父に渡したいと思って応募した」と話していた



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