コインランドリー情報誌 ランドリービジネスマガジン LBM

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REPORT:海渡産業㈱/「ランドリーの利用料金」で洗濯~乾燥をスタッフが代行、『アラワサッタ』サービスに迫る



 本社のある北海道のほか、東北〜関東の各地に拠点を構え、1990年代から幅広いエリアでコインランドリー経営を支えてきた海渡産業グループ。近年は、「プレミアム消臭コース」(業務用消臭剤を利用し、洗い上がりの衣類に消臭効果をもたらす)に代表されるような品質の差別化につながる提案や、十人十色のオーナーの要望に応える立地および機器選定、メンテナンスなどが高く評価されている。今回はそんな同社から開業したランドリーの中でも特にユニークな取り組みを行う店舗を紹介する。

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 ランドリー利用時の悩みとして、多くの人が真っ先に挙げるであろう『機械の使い方』。洗濯機や乾燥機の操作方法はもちろん、洗濯物の量に対してベストなコースは?洗えないものは?他の洗濯物と一緒に洗ってはいけないものは?業界の内側にいる我々が思っている以上にコインランドリーの使い方を知らない人は多い。


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写真:札幌市中央区にあるJabba Ring



 そんな人たちに代わってクリーニング師の資格を持つスタッフが洗濯から乾燥まで行う、その名も「アラワサッタ」サービスを展開しているのが、北海道札幌市のJabba Ring(ジャバリン、運営=㈱ライトン、竹内康社長)だ。いったいどのようなサービスなのか?


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写真:サービス自体は2012年のオープン時から実施していたが、「アラワサッタ」の名称を付けたのは2020年2月22日。ブランディングによりサービスの価値を高めていく



 北海道弁が由来だという「アラワサッタ」には『結果的にスタッフが代わりに洗っておいてくれた』という意味が込められている。「代わりに洗う」と書くと、洗濯代行をイメージする人が多いかもしれないが、畳みは別料金で、利用客はランドリーの料金のみを払う(畳みまでを希望する人には洗濯代行を案内する)。忙しくてなかなか洗濯ができない人、片付ける時間がない人達のために存在する洗濯代行とは異なり、アラワサッタは〝失敗しない洗濯〟を提供していくというのがコンセプトで、竹内社長は大学で化学を専攻し、卒業後は企業で不織布などの繊維や界面活性剤などを研究。繊維に対する化学反応などに精通していたが、ランドリーオープン後にはクリーニング師の資格も取得(現在は他の社員2名も取得済)し、「プロによる洗濯アドバイス」を行っていることもジャバリンの特長だ。


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写真:竹内康社長


 気になるのは処理方法だが、店内はコインランドリーとバックヤードのクリーニング工場(もちろんクリーニング所として届出済み)に分かれており、アラワサッタは、その工場で洗濯乾燥を行う(ドライ品は外注)。そしてウエットやドライなど、洗濯物ごとの最適な洗い方を提案するとともに、コインランドリーに持ってくるときのコツ(例えば「○○キロの水洗機なら▲▲枚は持ってきたほうがよいですよ」など)、さらには家庭洗濯のコツなども相談があれば惜しみなく伝える。 


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写真:コインランドリースペース。ジャバリンでは「アラワサッタ」が浸透しているため、こちらの利用率は全体の2割


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写真:このような洗濯のガイドブックも作っている



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写真:アラワサッタで集めた洗濯物を洗う店舗併設の工場。海渡産業から機種選定のアドバイスを受けたという


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写真:全スタッフがクリーニング師を取得するために勉強に励んでいるそうだ



 竹内社長がそうまでして、〝失敗しない洗濯〟を提供しようとする理由は、2012年の創業当時、お客から「自分で洗おうとしてみても洗って良いのか分からない」、「コインランドリーで洗ったら失敗した」といった声がとても多かったため。特に布団やラグマットなどの大物は乾燥が難しく、こうしたお客を見て、「お客さんが無駄なお金を使うことがないようにするには、自分たちがお客さんの代わりに洗濯すればいい」と考えたそうだ。そのためジャバリンのお客は8割がコインランドリーではなく「アラワサッタ」の利用客だという。

 有人店なのでコストは無人のコインランドリーより当然高くなるが、「アラワサッタ」に関しては「工場の機械の稼働率は1日平均で5割以上、特に夏場はフル稼働」と竹内社長。そこにコインランドリーの稼働率も加え、しっかりと利益を生み出しているという。



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