企業紹介：海渡産業㈱／店舗数が増え続けるマーケットで勝つため必要なことは？ - コインランドリー情報誌ランドリービジネスマガジン LBM

　従来コインランドリーは好立地に出せば売れるとされてきたが、近年のブームに伴う出店増により、良いロケーションでも特徴を持たない店は売上に伸び悩むケースが出始めている。

　「差別化」の重要性は年々増していて、本社のある北海道のほか東北〜関東の各地に拠点を構え、1990年代から幅広いエリアでコインランドリー経営を支えてきた海渡産業㈱グループでも250店舗を超える開業支援の実績とそこで培ったノウハウを基に差別化できる店舗づくりを提案し、店舗デザイン、機械構成、サービス内容などあらゆる面でオーナーをバックアップしている。

　その同社が携わった個性的な店舗の事例を紹介すると、今号でも紹介している札幌市のJabba Ring（ジャバリン）。コインランドリーの利用料金で洗濯から乾燥までの一連の工程をスタッフが行う通称・アラワサッタのサービスにより、「コインランドリーの使い方に悩む人たち」を取り込み、他店との差別化を図っている。コロナ禍の現在も布団などの〝大物洗い〟が絶好調で毎年30％の売上アップを続けており、2020年には「第５回コインランドリーアワード」で見事【最優秀賞】を受賞した。

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写真：札幌市のJabba Ringは、アラワサッタのサービスで毎年30％の売上アップを続けている。海渡産業では、こうした店舗で蓄積したノウハウをあらゆるオーナーに還元し、差別化の提案を進めている

　また、函館市にあるカフェ、クリーニング取次店併設のrico café laundry（リコ・カフェ・ランドリー）では女性専用ルームやパウダールームなどを完備し、女性が利用しやすい店舗づくりを行っている。まめな店内清掃で、常に清潔感を保つことを心掛けているそうだ。

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写真：函館市のrico café laundry。女性専用ルームを用意し、安心して使えるコインランドリーを実現

「品質」でも差別化できる店舗づくりを

　元々、クリーニング業界向けの機械・資材の商社としてトップシェアを誇る同社では、差別化が難しいとされる洗い上がりの「品質」においても様々な付加価値を提案することができる。

　2020年夏には、繊維加工用薬剤の世界的トップメーカーである日華化学㈱（福井県福井市）が開発に成功した抗ウイルス機能を持つ薬剤による「抗ウイルス加工」を開始していて、これは外部機関の試験でも抜群のウイルス低減率が実証されているもので、加工は自動投入で行い、「目安として20㎏の洗濯乾燥機で＋300〜500円の加工料金を見込めます」と海渡産業は述べている。リコ・カフェ・ランドリーでも多くのお客から支持を得ているそうだ。

　「抗ウイルス加工」以外にも消臭剤メーカーの業務用消臭剤を利用し、洗濯乾燥機ごとに「プレミアム消臭コース」（高濃度銀イオン＆超消臭ポリマーの力で洗い、「洗濯乾燥をおこなうと次の洗濯時まで消臭効果が持続する」というもの）を設ける提案も行っていて、同社が東京都江戸川区に構えるモデルショップ「Jabba東葛西店」では「プレミアム消臭コース」は大好評。通常コースより料金が高いにもかかわらず、コース対応機を利用する人の約半数は「消臭」を選択しており、人気ぶりから2018年６月に機械を増設したが、稼働率は伸びているという。その「消臭」以外にも、「洗浄強化コース」（作業着等のしつこい油汚れに最適）、「ふわふわコース」（毛布等がふんわり仕上がる）、「防ダニコース」（アトピー等のダニ対策に、寝具等に最適）などもありリピーターの獲得をサポートしている。