コインランドリー情報誌 ランドリービジネスマガジン LBM

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REPORT:㈱TOSEI 静岡県 Fuwari 本宿店/社会インフラとしての期待も高まるコインランドリー・災害に強いプロパンガスで動く発電機、水4tも備蓄


災害時対応店舗「ランドリー エネ×スパ」


 高圧ガス容器の再検査や再検査設備のコンサルティング等を行う大静高圧㈱の関連企業で、高圧ガス容器のくず化処理業の大静テクノ㈱(いずれも静岡県駿東郡長泉町)では、「回収したガスの有効利用ができる」として、2016年に同社1号店となるコインランドリーをオープン。2020年12月現在、静岡県内で計3店舗を運営している。

 3店舗の中でも、大静テクノの白砂伸之社長の地域貢献への想いが詰まっているのが、2017年にオープンした2店舗目のFuwari(フワリ)本宿店。同店は、もしもの時に役立つ“災害時対応店舗”なのだという。なお、機械は地元のコイン機器メーカー大手の㈱TOSEIの製品を使用しているほか、災害時対応店舗については大静テクノとTOSEIの両者で「ランドリー エネ×スパ」として商標登録済み。今後、災害時対応店舗に興味のあるTOSEIのユーザーにはノウハウ提供等を行っていく計画。


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上:大静テクノとTOSEIの両者で「ランドリー エネ×スパ」として商標登録済み。洗濯、シャワー、ガス、電気の4つの項目の中で、本宿店ではシャワーを除く3つに対応している


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写真:災害時対応店舗Fuwari(フワリ)本宿店の外観



 「ランドリー エネ×スパ」とは、どのような店なのか。具体的には、万一の際でもプロパンガスで動く発電機があるので、停電時でも洗濯や乾燥ができ、携帯電話の充電もOK。また、同店はガスの充てんができる工場が併設された本社から歩いて1〜2分という立地のため、ガスが少なくなっても、すぐに交換することができる。ガスはもちろん、洗濯機や乾燥機の熱源となるほか、本社にはガス炊き用のコンロと炊飯器(2台)も備えているので、簡単な炊き出しも可能。さらに、洗濯に不可欠な「水」についても、突然の断水に備え、店舗の敷地内に4tもの受水槽を完備している。4tとの規模についてTOSEIでは、「もともと受水槽のあるランドリーは少ないのだが、熊本地震以降は行政からの要請で備えるところも出てきた。しかし、容量は1t程度がほとんど」ということからも、かなりの量ということが分かる。


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写真:災害に強いプロパンガスをフル活用。奥に見えるのは4tもの受水槽


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写真:店内にはTOSEIの洗濯乾燥機が4台と乾燥機が4台



 「ランドリー エネ×スパ」の生みの親である白砂社長は、「東日本大震災では津波の被害で多くの衣類も泥だらけとなり、洗濯とお風呂が大きな困りごととなっていることが分かった。その他の台風や大雨被害でも、『低価格や無料で利用できるコインランドリーがあって助かった』との声が多かったので、当社でランドリーを始める際には、万一の際に地域に貢献できる施設にしたかった」と語る。


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写真:白砂伸之社長



 1号店は借地だったため実現できなかったが、2号店となる本宿店は、知り合いから「買ってくれないか」との話があった自動車整備工場の跡地で、前述の通り本社のすぐ近くのため、ガスの交換も容易。そこで待望の「災害時対応店舗」としてオープンできた。

 なお、プロパンガスで動く発電機は常用と非常用を兼ねたもので、実は毎日7時〜22時まで、同店の電力として活用。少し音がするため、近隣に配慮して夜間と早朝だけ買っている電気を使っているそうだが、それほど大きな音ではなかった。


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写真:プロパンガスで動く常用と非常用を兼ねた発電機で毎日発電



 この発電機も白砂社長がこだわったところで、「ディーゼル軽油を燃料とした非常用では、燃料が劣化していて『万一の際に動かなかった』ということも考えられるが、プロパンガスなら劣化がなく、毎日動かしている発電機なら、より安心できる」。他にもガスを店内の空調にも活用。これは、エアコンのコンプレッサを電気モーターではなく、ガスエンジンで動かすGHP(ガスヒートポンプ)という仕組みで、「ほとんど電気代がかからない」そうだ。


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写真:店内のエアコンは電気モーターではなく、ガスエンジンで動かすGHP(ガスヒートポンプ)を採用。停電時も室温を一定温度に保てる



 このようにガス(プロパン)をフル活用する同店だが、その最大の理由は、「万一の際でも、ボンベから供給先までの経路の漏れをチェックするだけで、早く復旧できるから」。同社のある静岡県は、ずいぶん前から東海沖地震が懸念されており、地域としても防災意識が高い。一方で、本業として関わるプロパンガスは「東日本大震災の時でも供給が途切れたとの話は聞いていない」(白砂社長)というほど頼もしい存在。

 そのガスをフル活用して万一の際に備えている白砂社長は、地元の町と災害時における店舗の使用に関する包括協定を結ぶことも視野に入れているという。今後のランドリーには社会インフラとしての期待も高まっていきそうで「災害時対応店舗」は、その一つの答えとなるのではないだろうか。



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