コインランドリー情報誌 ランドリービジネスマガジン LBM

国内唯一無二のコインランドリービジネス情報誌




TOPICS:〈ブルースカイランドリー〉を選んだ理由/LBMを発行するゼンドラのコインランドリー 群馬県前橋市に1号店をOPEN・いまの出店候補地と 比べてみてください 5000人の見込み客が目の前に

——メディアでありながらランドリー市場に参入した理由は?多くの中から「ブルースカイランドリー」を選んだ理由は?そこから見えてくる店舗を活用した今後の構想とは——

 コインランドリー経営情報に特化した唯一の専門雑誌「ランドリー・ビジネス・マガジン(略称:LBM)を発行するゼンドラ株式会社では2020年10月9日に、同社運営第1号店となる「ブルースカイランドリーカインズ前橋小島田店」(群馬県前橋市)をオープン、今回は同社代表の関誠にインタビューを行った。


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写真:ブルースカイランドリーカインズ前橋小島田店

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写真:オープン日のセール

 

メディアなのに参入した理由
クリーニングが衰退しているその裏で

——参入の理由は?

 長年、クリーニング業界新聞を発行していながらクリーニング需要の減少を見つつも消費者の動向を注視してきました。長引いたデフレ不況でサービス提供料金も低くとどまり、オーバーストアによる料金競争も激化し、最終利益率は一ケタ前半という企業が多くなかなか儲からない事業になってしまいました。


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写真:オープン前には併設のカインズのLINE公式でも告知を行い、オープン日には行列もできた



 一方、消費者は衣類を洗わなくなってしまったのか?というとそうではなく、クリーニング店以外の場所…例えば家庭内やコインランドリーで洗い、それはそれで120%満足している。この現状を真剣に考えたとき、コインランドリーを実践して体感しないとわからないと考えはじめたのがきっかけです。

 もう一つ、本誌LBMを創刊しコインランドリーEXPO展示会を開催し、本格的にランドリービジネスに関わるようになって、あるとき展示会来場者にこう言われました。「そんなに儲かるならなぜ自分たちでやらないの?」と。実はこれは昔から言われ続けていましたが、このような形でお店を作ることになるとは、当初は一切考えていなかったです。


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写真:機械構成は、エレクトロラックスの洗濯乾燥機15㎏が2台、洗濯機が11㎏2台、20㎏1台、28㎏1台、乾燥機は16㎏8台、30㎏2台、それとスニーカー洗濯・乾燥機1台



マーケティングの貴重な情報収集

——実際にオープンした感想は?

 実際に作ってみると、これまでは専門誌の立場で俯瞰して見る立場でしたが、一部のエリア内の一プレイヤーになったのは大きいです。毎日毎日いろいろな貴重な情報が入ってきます。コインランドリーは投資的側面も強く、オープンしたらあとは売上の数字を確認注視しているオーナーも多いと思いますが、どんな方々が何をどのタイミング(日時)で来店利用しているか。そして、現金なのかポイントなのか。チラシやSNS含め、どの販促導線で来店され一定期間に何回利用しているのかetc。これらは貴重なマーケティング情報で価値が高いです。現場にネタあり!メーカー自身がモデルショップを出店するのも頷けます。これまでの取材活動のみで得ていたよりも幅が広がりました。消費者動向を踏まえた一段深い情報を、誌面その他に活かしていきたいです。

 

ブルースカイランドリーを選んだ理由
商業施設の広い商圏エリアと潜在見込み顧客の数

——メディアとして、多くのフランチャイズとの取引がある中、ブルースカイランドリー(本部・㈱ジーアイビー)を選んだ理由は?

 コインランドリー出店にあたり、なぜブルースカイランドリーを選んだのか?業界関係者に弊社営業・記者が色々聞かれるようで、今回はちょうど良い機会なのであくまで私見ですが考えを明らかにしたいと思います。

 コインランドリーに重要なのがロケーション。これは言うまでもありませんが、絶好の立地だと思っても実際には出してみるまで不安は消えない…メーカーや商社・FC営業マンも心の中は一緒で100%はあり得ませんからこれが本音です。それくらい立地や物件状況は重要ですが、私が出したかったコインランドリーのロケーションはSM(スーパーマーケット)・HC(ホームセンター)・SC(ショッピングセンター)など大型商業施設内で、ロードサイド店への出店は今回は考えなかったです。

 熱心なLBM読者の皆様には釈迦に説法でしょうが、売上高20億円規模の中堅SMや50億円規模のモール型SCなどでは、月間に5万〜10万人、それ以上ほどの来場者が見込め、その商圏範囲も3km〜5km、7km、10kmにも及びます。この5万〜10万人に対して10%の利用率でも5000〜1万人。たった5%でも2500〜5000人の見込み客がすでにいるのが大型施設への出店です(売場面積あたりの平均来店客数などは、全国スーパーマーケット協会などがデータを出しているのでご参考に)。

 損益分岐といわれる60〜70万円の売上を獲得するにはこのロケーションで毎月数回利用の固定客が何人、シーズン年数回の流動客が何人必要でしたでしょうか。これを達成するまでに見込みで何ヶ月かかるでしょうか(この部分はいろいろな営業マンに聞くと営業マンの「質」が分かりますよ)。オープンと同時に最初から見込み客が目の前にいる商業施設のアドバンテージを私は重視しました。


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写真:北海道を除く東日本を中心に展開するスーパーマーケット「ベイシア」が併設

 

 

クリーニング店もインショップ(インテナント)が主流

——小売業の強さはどんな部分?

 こう考えるに至ったのは、実は、みなさんも利用するクリーニングの受渡し店舗もいまではSMのインショップ・インテナントが主流です。クリーニングの大手企業はSMへの出店を多数展開する企業が多いのが実情です。昨年より続くコロナ禍でも人々が足を止めなかった(品物不足で殺到した)小売業の強さを感じました。

 しかし、逆にロードサイドは不利ということではありません。あくまで一例と考えて欲しいのですが、来店客でなく交通量という指標に置き換えると、商業施設よりロードサイドの方が想定人数は確実に多いです。しかしながらあくまで通過人数ですので割り引いて考える必要があります。慣れない土地だと判断も難しく、そして空き物件があれば誰でも出店が可能なのでライバル店舗の出現リスクが常にあり、ロードサイドは地元エリアをよく知る人向けなのかもしれません。立ち上がりもロケーションそれぞれで、認知までにそれなりの時間がかかることも多々あります。


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写真:くみまちモールにはベイシアのほか、ホームセンターのカインズやスギ薬局、100円ショップのセリアなどがある。夜も視認性抜群

 

店舗運営をしっかり任せられることが前提、既存事業とのシナジー

——小規模事業者の最適な出店形態は?

 よく尋ねられます。「おたくの従業員(社員)は何人ですか?」と。弊社は多数の媒体を出して多方面に事業展開をしているのでそこそこの中小企業のように見えますが、どっぷり少数精鋭の小規模事業者です。

 なのでランドリー店舗の運営も最初から他人任せで検討していました。とはいえ、誌面への活用や後述する弊社新事業などを考慮すると、有人対応でしっかりと店舗運営を任せられるところが前提でした。…この視点で探すと対象は意外と少ないです(ここは隙間で、ビジネスチャンス)。売上に対する固定費(店舗運営管理費用)はかかりますが、しっかりと任せられるメリットは、弊社の場合では重要でした。顧客への二次対応含め何かあるたびに人員を当てられないので助かります。オープン準備も含めてすべてお任せです。独自の企画はスーパーバイザーさんと打ち合わせしますが、季節感を出した装飾などの基本計画は既にできあがっています。

 そして、このポイントは重要ですが、コインランドリー開業を考えている方はすでに別の事業を営んでいることも多く、既存事業とのシナジー効果が得られる環境構築は大切だと考えます(シナジーが出しやすい既存事業なら積極的にランドリー出店を進め、シナジーが出しにくい事業ならば一度冷静になって考えてみることも)。 

 現在の主流はコインランドリー単体サービスよりも他の事業・店舗との複合化が進んでいます。複合する両サービスとも自社での運営が必須というわけではありません。利用客(お客様)には誰が運営しているのか見えませんし、異業種同士による連携での展開も行われております。その面では、商業施設はすでに複数の店舗・サービスが用意されているので、自前での複合店舗化を模索しなくても済みますし、多様な店舗・サービスが用意されているため、店内滞留はほとんど無く、待ち時間は必ず店外へ出られます。店舗面積(坪効率)も高めることが可能ですね。


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写真:大型商業施設併設以外に小島田店のもう一つの特徴として挙げられるのが、「災害対応型コインランドリー」であること。コインランドリーに供給されるガスを、災害発生時に食料の炊き出しや発電機での電源確保に活用できる。「サービス対価の提供と金銭授受だけがビジネスではありません。それ以外でお客様に対して何を提供出来るか?を考えていきたい」と関は話す。オープン当日は群馬テレビが取材に入った


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写真:子どもの虐待防止を啓蒙する「オレンジリボン運動」にも参加。啓蒙用マスクを店内で配布した



ビジネススクールの構想やサンプリングなどコインランドリーのサービス拡充を図りたい

 ——コインランドリーにおけるサンプリング事業とは?

 弊社は大手メジャー企業などのサンプリング事業(広告・プロモーション事業)を実施しており、クリーニングの店頭から試供品提供などでの消費者接点を提供しています。この事業を横展開し、コインランドリーチャネルでのサービス提供をはじめたく開業した面もあり、オープン間もない現状ですがすでに実践中で、来店されるコインランドリー利用客に対して新しい付加価値サービスを提供しています。コインランドリー店での本格的なサンプリングはおそらく日本では初のケースになるのではないでしょうか。午前中の一部時間が有人接客対応できるオペレーションなので(これもブルースカイランドリーの特徴)、人がいるメリットを存分に発揮していきたいと考えております。

 また、商業施設はこのサンプリングスポンサーとは商取引関係にあり、お店は売り場です。弊社の店舗ロケーションはカインズさんとベイシアさん、そしてスギ薬局さんにセリアさんと一緒。それぞれとのシナジーを生み出させるために個別の連携をはじめています。

 各店舗の販促とコインランドリーの相関。コインランドリーからの各店舗への送客。実践してみたいことが山ほどあり、これら実践例を業界内にフィードバックすることもLBMを出版する弊社の責務であると考えます。

 この面でも、「さまざまなNEEDSを組み合わせてWIN×WINを提案する」と理念を掲げるジーアイビーさんとの可能性・協業も期待したわけです。


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写真:オープン日のノベルティとして、サンプリング事業で取引のある企業から試供品を手配し、来店客に配った。新型コロナウイルスの感染予防のため、ラックにかけ「ご自由にお持ち帰りください」とした

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写真:2020年12月中はLINEの友達追加と連動型のサンプリング企画を実施していた。午前中の有人の時間帯限定でスタッフがお客に渡している。


 

ランドリービジネスの健全な普及・発展・繁栄のためにスクール開講

——開業予定者向けのスクールを立ち上げる?

 本年2021年、ランドリービジネスマガジン(LBM)のスピンオフとしてLBS=ランドリービジネススクールを立ち上げます。コインランドリー開業前には色々な情報整理が必要で、借り入れ含めた大型投資案件です。

 個人でしたら貴重な財産を守ること。法人担当者であっても失敗は大きな失点になります。コインランドリービジネスに必要な要素を凝縮して、基礎知識からオーナーの実践例まで体系的に学べるものを作りたいと考えております。

 コインランドリーの過去を紐解くと、バブルが起きてそれが破綻の繰り返しでした。表面的な利回りを過大に見せて射幸心を煽るなど、健全な業界発展とは遠い状況も過去には見受けられました。事業である以上は成功も失敗もあるのは仕方ありませんが、過度な営業は抑えるべきだと考え、一定の評価基準を形として示すことが出来るビジネススクールを運営。受講生同士、講師その他の人々と相談できる環境の構築を行ってまいります。

 スクールには各メーカー・商社・FC本部にも参画いただき、一体となってランドリー業界の発展に情報・知見を提供いただきます。受講生は公平・公正な視点で各企業からの提案を評価でき、同業者同士の情報交流は見積額の暴走に一定の歯止めがかけられると考えます。

 質の良い情報を提供し、不安を解消しながらコインランドリー事業に参画しやすい環境を構築していく。ランドリー業界の健全な発展のために寄与すること、これが弊社の役目であると認識し、その目的遂行のために自店舗を作ったといっても過言ではありません。

——ありがとうございました


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